ガール「アタシABC聴くよ。ライブは行ったことないけど」
ぼく「マジで!?ライブといえば2012年のクリスマスライブの時に初っ端のMCでヤス何て言ったと思う?」
ガール「え~、わかんない」
ぼく「ヒントはクリスマスにちなんだネタ」
ガール「え~???」
ぼく「メリー?」
ガール「クリ◯リス!」
ぼく「正解!」
ぼく&ガール「ギャハハハハハ!!」
我に返ったぼく「(俺は一体何をやってるんだ・・・)」
最近はAcid Black Cherryを知っている(聴いている)ガールに半ば強引に、半ば合法的に、しかしあくまでも自然に下ネタを言わせた会話の後、猛烈な自己嫌悪に陥っている今日このごろ、皆さん如何お過ごしですか? そんな僕はといえば、約二年ぶりとなるAcid Black Cherryのライブへ、その名もアリーナツアー『2015 arena tour L—エルー』、11月26日に名古屋の日本ガイシホールで行われた二日目の公演を観に行ってきた。本来ならば、夏に企画されたフリーライブで久々に林の姿が観れるはずだったんだが、しかし結果はまさかの落選で、「えっ、これって落選すんの?林フザケンナ」って、そんな苦い思い出を経て、今回遂に満を持してというわけ。








Setlist
01. versus G
02. liar or LIAR ?
03. Greed Greed Greed
04. 黒猫 ~Adult Black Cat~
05. scar
06. INCUBUS
07. Round & Round
08. 君がいない、あの日から...
09. 眠れぬ夜
10. 7 colors
11. DRAGON CARNIVAL
12. cord name【JUSTICE】
13. Black Cherry
14. エストエム
EN1
01. L-エル-
02. & you
01. L-エル-
02. & you
EN2
01. 少女の祈りⅢ
02. 20+∞Century Boys
01. 少女の祈りⅢ
02. 20+∞Century Boys
林もMCのネタにするくらい有名な、いわゆる「日本三大ブス」の産地の一角を担う名古屋が、"ある時"だけ「日本三大ブス」から解き放たれる瞬間がある。その"ある時"とは、他でもないAcid Black Cherryのライブが名古屋で行われる時だ。それこそ『L』すなわちメンヘラクソビッチと呼ぶに相応しいガールが沢山いて、「あの子はピンクのセーラー服を着たレイヤー!あの子はJK!JK!JK!あの子はガールズバー勤務っぽいし、あの子はエスエム嬢っぽいな。あの子はピンサロ嬢っぽいし・・・う~ん、あの子はデリヘル嬢かな?あの子は・・・マイナンバー制度に怯えるソープ嬢だ!」という風に、まるで有吉弘行あるいは伊集院光ばりにゲスい目線でTEAM-ABCのガールをチラ見ウォッチするのが、俺たちTEAM-ABC男子部としてのABCのライブにおける役割で、僕は今回もその責務を全うしていた。
まぁ、そんな冗談はさて置き→今回のツアーは、言わずもがな2月にリリースされた新作『L -エル-』に伴うツアーで、新作のアルバム曲は勿論のこと、ABC史上最もコンセプト/ストーリーに力を入れた作品だけあって、ライブの演出面にも大きな期待がかかる。とりま僕は一般先行のチケットで、振り返れば立ち見がいる...つまりスタンド席の最上階という見事なクソ席からの鑑賞となった。今回の舞台構成は、ステージの真ん中と左右にスクリーンが設置してあって、そこにメンバーの姿や映像などを織り交ぜながらライブをドラマティックに演出していく。
このライブの真の目的は、謎に包まれた『L』の正体を掴むことで、となると一曲目の存在が非常に重要になってくるのだが、しかし僕スネークは開演と同時に『L』の正体を目の当たりにし、そしてド肝を抜かれた。まずは6時半、開演すると同時にスクリーンに『L』のアートワークが映し出され、それが鏡のようにヒビ割れる演出から、『L』の正体とされるローレン・メイベリー率いるChvrchesの”Science/Visions”が始まったかと思えば、いやそうではない、猛烈なエレクトロ感溢れるライブ・アレンジを加えたイントロで始まったのは、他でもないAcid Black Cherryの”versus G”だ。「やはり『L』の正体はLauren Mayberryだったか...」と、早々にコードネーム『L』の正体を暴くことに成功し、無事任務を遂行した僕スネークは、満足気にABCのライブに浸り始めるのであった。
林のヘロヘロラップがキモである一曲目の”versus G”を聴いてまず気づいたのは、ここ最近の急激な寒波に見舞われたことや二日目の影響なのか知る由もないが、林の声が明らかに不調であることと、恐らくクソ席であるせいでバンドの音もペラペラで、この曲が持ち味とするゴリゴリのヘヴィネスまで全てが迫力不足で、今になって二年前のライブは良席に恵まれていたのだと理解した。その流れでアルバム『L』のリードトラックである”liar or LIAR ?”からの”Greed Greed Greed”まで、序盤はラウドな曲で一気に畳みかける。次の”黒猫”では林主宰のキャバレーとばかりLED照明によるド派手な演出で観客を賑わせる。次はバラードの”scar”で一息入れつつ、そしてこのツアーの見せ場となる中盤の流れに突入する。左右中央に用意されたスクリーンにMVの演出が織り込まれた”INCUBUS”、続いてアルバム『L』の「もう一人の主人公」であるオヴェス君とエルが絵となってスクリーンに映し出され、未来のエルに襲いかかる壮絶な人生を暗示した”Round & Round”、オヴェスのエルに対する想いが込められたバラード”君がいない、あの日から...”、からの”眠れぬ夜”ときてABCらしいシャッフル曲の”7 colors”まで、アルバム『L』の重厚なコンセプトを一箇所に凝縮したような中盤の流れは、このツアーの大きな見所でありハイライトだった。終盤は過去作から定番曲が並び、本編ラストに”ピストル”の代役を担うには十分な”エストエム”を持ってくる名采配。しかし、まだまだ『L推し』は終わらない。アンコールには表題曲と”& you”を立て続けに、畳みかけるようにしてアルバム『L』の楽曲をこれでもかとゴリ押してくる。ダブルアンコールには、ヘドバン曲の”少女の祈りⅢ”とお馴染みの”20+∞Century Boys”で幕を閉じる。
当然、アルバム『L』に伴うツアーであるからして必然的に新作中心のセトリだし、必然的に『L』のコンセプト/ストーリーをライブの演出面にゴリ押しとばかり組み込んできている。音響の良し悪しは別にして、新作の曲がほぼ全て聴けたのは素直に良かった。当然、『L』は過去作と比べて大人しめの楽曲が多く、いわゆる”暴れ曲”が少ないため、そういった点ではイマイチ盛り上がり”に欠けた気がするのも正直な感想。とは言え、『L』のコンセプトを演出の基にしながらも、ABCのライブとして楽しませる最低限の器量はあったライブだと思うし、このツアーでしか味わえない演出や見所も十二分にあったと思う。”liar or LIAR ?”の入りの格好良さは勿論のこと、個人的にアルバム曲で生で聴いてみて存外良かったのは”7 colors”で、曲調やカラフルな演出面も踏まえてABCらしさに溢れていた。
前回から変わらず、ツイッターで募集した質問にメンバーが答えるコーナーが定番のMCとなっている。序盤のMCでは、「昔の曲を自分で聴いたりするか」とか「ライブでミスったらどうやって誤魔化すか」とかの質問の他に、「ギターのピックやドラムのスティックも0.2ミリ単位で音が違ってくる世界らしい」とか「林のマイクスタンドにも”こだわり”がある」みたいな、ABCにしてはエラくマジメな質問ばっかで、はじめて「ABCってプロのバンドだったんだ!すごい!」って感心した。HIROさんはライブでミスったらローディのせいにするABC一番のぐう畜。しかし二回目のMCコーナーでは、「新婚で月一しかしないセックスレス夫婦」とか「逆に彼氏が寝る暇もないくらいセックスモンスター」とか、それらの質問から「性欲を持て余す」話に変わって林が「一人運動会して寝たのに夢の妖精にあった」とか言い出して「夢の妖精」ってなんだ?って一瞬考えたけど普通に夢精の話だった。自分はこの日のために10日くらいオナ禁してたんだけど、一向に夢の妖精を見る気配がないからやっぱり個人差があるのかも。その代わりに朝立ちがハンパなくなる。お陰で最近は朝起きるとパンツを素早く降ろしてビターン!!ビターン!!するのがマイブーム(何の話だ)。でも”Black Cherry”の「顔にかけて」のタイミングでスクリーンに林の顔がアップで映し出された瞬間、「林、イクぞ!」みたいなノリでほぼイキかけたけどギリ我慢した。他には、早口言葉ネタはボツって「バンドマンの彼氏が客相手に浮気してるからチンコ切り落としたい」とか、まぁ、いつもの下ネタ成分多めなMCだった。今回は自分が過去に観たライブMCほどの名言はなかった気がする。つい「おいおいマジメか!」ってツッコみたくなるくらいに。MCもちょっと長く感じた。
約二年前、名古屋の2公演を観に行って以来久々にABCのライブを観て、林は喉の調子は不安を残すものの、しかしステージング/パフォーマンスは相変わらずの格好良さで安心した。ライブ自体9月のANATHEMA以来三ヶ月ぶりで、やっぱりナマはイイもんだなと再確認できた。この勢いで来月のX JAPANのライブに行って人生のピークを迎えるぜ!と意気込んでみたものの、当然チケットは取れるはずもなく・・・二度目の「林フザケンナ」。色々な意味で、この不完全燃焼みたいなモヤモヤを晴らすために、とりまABCのライブハウスツアー『S』に行きて~。
そういえば、終演後の帰り際に外国人の美女を見かけたのだけど、まるでエルが成長して大人になって"リアルエル"となってABCのライブを観に来たようでもあって、今日のライブで最も粋で妙にロマンチックな演出だなーと自分の中で独りでに思いながら、僕は会場を後にした。でも、もし彼女がフランス人だったとしたら?例のMCを聞いて彼女は一体何を思ったのだろう?林は本当にスタンドが見えていたのか?本当にアリーナが見えていたのか?林よ、今はコンプライアンスの時代やぞ。