Welcome To My ”俺の感性”

墓っ地・ざ・ろっく!

2014年04月

Vampillia 『the divine move』 レビュー

Artist Vampillia
Vampillia

Album 『the divine move』
the divine move

Tracklist
1: lilac (bombs 戸川純)
2: mirror mirror (bombs BiS)
3: endless summer (feat. ツジコノリコ)
4: tasogare (feat. 長谷川裕倫)
5: good religion (feat. Mick Barr)
6: dizziness of the sun (feat. ツジコノリコ)
7: oops i did it again (bombs BiS)
8: endless (massaka) summer (feat. ツジコノリコ and 真部脩一)
9: lilac bombs 戸川純 (perfect ending ver)

「相対性理論から真部脩一が脱退!?」←まぁわかる
「真部脩一改め真部デトックス脩一がVampilliaに加入!?」 ←ファーーwww

・・・本作品の『the divine move』は、自称ブルータル吉本オーケストラことVampilliaに正式加入したex相対性理論の行方不明者真部脩一改め真部デトックス脩一が歌詞と歌メロを担当した「bombs」シリーズをフューチャーした日本企画盤、そしてVampilliaがJ-POP産業に挑戦したコンセプトアルバムとなっている。そのオープニングを飾るのは、ゲストに戸川純を迎えた#1”lilac”で、学研の付録楽天のブログなどの相対性理論節全開のユニークな歌詞を摩訶不思議に歌い上げる戸田純と、日本の季節感を彩る情緒豊かなストリングスや琴のような和音が織りなすミニマルかつノスタルジックな、それこそ久石譲を彷彿とさせる映画音楽ライクな美しくも幻想的なメロディを織り交ぜながら、どこか懐かしい、子供の頃に毎朝ポンキッキーズを見ていたあの夏の思い出が甦るような、それこそ『ちびまる子ちゃん』のEDテーマに起用されてもオカシクないほどの2次元力の高さに、まるで童謡『まんが日本昔ばなし』のセカイに迷い込んだかのような、その奇想天外なポップ・ワールドに度肝を抜かれる。相対性理論では女子中高生の甘酸っぱい乙女心を繊細に描き出していたが、この曲では「夏休みの宿題よりも気持ちのいい事しよう...(ムラムラ)」という、まるで稲中卓球部の前野のような男子中学生の煩悩をセキララに描き出している。



【BiSなりの卒業式】・・・おいら、以前から【BiS×非常階段=BiS階段】がありなら【BiS×Vampillia=BiSpillia】【BiS×DEAFHEAVEN=BiSheaven】もしくは【BiS×DIR EN GREY=BiS EN GREY】が実現する可能性もワンチャンあるんじゃあねーか?って密かに期待してたんだけど、その中で最も実現的だったBiSVampilliaのコラボが、この度アッサリと実現して大変嬉しく思っている。まさか対バンだけでなく、花見合コンや遂には楽曲コラボなんて・・・しかもソレ+真部ってのは、まさかまさかのマッサカサマーだった。そんな、解散を間近に控えたアイドル界の最終兵器ことBiSとブルータル吉本オーケストラことVampilliaのコラボが実現した楽曲こそ、ex相対性理論真部脩一あらため真部デトックス脩一が手がけた「bombs」シリーズの二曲目”mirror mirror”だ。まるで『アイドル戦国時代』の殺し合いの螺旋からの卒業もとい解散を祝うかのような、担任の山本先生によるピアノの伴奏とともに、それこそ”BiSなりの卒業式”を祝うかのようなBiSメンの合唱で幕を開け、ココロが力強く弾む扇情的なストリングスや東京都心はパラレルワールドに迷い込んだかのようなメロディ、そしてDEAFHEAVENばりのスクリーモ/デプレッシブ系ブラゲ直系のギターを掻き鳴らしながらリリカルに展開していく。そして最期はBiS下衆の極み乙女の感情とVampilliaのゲスい吉本魂が激しく共鳴し合い、ゲスやビスやブスやクズやカスなど...あらゆる激情的な感情と刹那的なエモーションを爆発させながら、まるでBiSメンが処女喪失する瞬間の衝動を叫ぶような奇声とBiS階段リスペクトな極悪ノイズが蠢く混沌(カオス)の渦へと聴き手を引きずり込んでいく。正直、この曲の展開力には驚かされた。往年の相対性理論を彷彿とさせるシティ・ポップ感と、いわゆるポストプログレッシブ/ポストロッキンな音使いをもって、デプレッシブ系アイドルという名の偶像、その刹那的な人生を振り向かずに駆け抜けてきた一つの『アイドル激情物語』を繊細に紡ぐリリカルな展開力、そのBiSと吉本芸人Vampilliaが持つゲスの極みが一つになることで、それこそSTAP細胞を超える異常な化学反応を起こし、まるでDIR EN GREYの京の自傷行為に匹敵する”この胸に絡みついた灼熱の純情な感情”を爆発させる。この曲は、僕がBiSに対して漠然としたポストブラック精神を感じていたのはコレだったのかと、あの”DiE”はこの曲の伏線()だったんだ、と。正直、この曲だけでBiSのラストアルバムの存在意義を超えちゃってるというか、本家のラストアルバムWHO KiLLED IDOL?よりもBiSメンの個性が活かされているという皮肉(特にプー・カスとカミヤサキ、そしてのぞ氏がいい味出してる)。ある意味、この曲こそ”BiSなりのラストソング”、つまり卒業ソングだと思うわ。正直、真部ちゃんが相対性理論を抜けてVampilliaに正式加入したって聞いた時は→「ゴラアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!真部ええええええええええええええええ!!相対性理論抜けてこんな所でなにやっとんじゃあああああああああああああああ!!」って激おこプンカスだったけど、この「bombs」シリーズ二連発を聴いちゃったら最後→「これが真部ちゃんが相対性理論を抜けてまでやりたかった音楽か...フッ」って、すまし顔で僕はソッと口を閉じた。しっかし、あの真部ちゃんが”アイドル”をどのように料理するのか?最初は全くイメージ出来なかったんだけど、実際聴いてみたら「やっぱ真部ってスゲーわ」ってなった。



【Vampillia=ネタバンド】・・・このヴァンピリア、実はAlcestの初来日公演のサポートで初めてその存在を知ったというか、その破天荒なライブパフォーマンスを観てからは、自分の中で”Vampillia=ネタバンド”というイメージが根強くあったんだけど、その悪いイメージを払拭してくれたのがこの”endless summer”という、ゲストという名の語り部にツジコノリコを迎えた約4分33秒の曲だったんだ。これは以前にアルセスト来日のサポートを経験した影響なのかは定かではないが、正直ここまでポストブラック然とした楽曲が書けるなんて素直に驚いたし、このヴァンピリアというバンドのポテンシャルの高さに面食らったと同時に、この僕に生まれて初めて”ヴァンピリアの楽曲”を意識させた曲でもあり、生まれて初めて”ネタバンド”ではなく一つの”アーティスト”として認識させたほどの曲だった(なお、先日のライブで改めて”ネタバンド”という認識が強くなった模様)。で、この曲は”mirror mirror”の上位互換とも取れる曲で、ツジコノリコという名の語り部が『世にも恐ろしいグリム童話』のような儚くも陰惨な世界観を朗読しながら、優しくも切ないピアノやシガーロス直系の壮麗優美なストリングスを擁したATMS系ポストロックなアプローチをもって繊細かつリリカルに展開し、そしてボーカルの天パクソ野郎によるあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛!!という咆哮と共に、まるでNe Obliviscaris(ネ・バブリシャス)の如し抒情的な旋律を奏でながら天空を駆け巡る超絶epicッ!!なストリングスを凶悪なトレモロ・リフに乗せて、それこそKayo Dot『Hubardo』に匹敵する極悪のアヴァンギャリズムの中で、静かなる狂気を解放し、そして死者の霊魂を浄化していく。この曲調、このMVが醸し出すグリム童話感というのは、まさにスティーヴン・ウィルソン氏がソロ活動で描いている世界観に近く、少し大袈裟かもしれないが、UKの奇才スティーヴン・ウィルソンとアンダーグラウンドシーンの暗黒星Kayo Dotを繋ぐ架け橋的な存在こそ、このブルータル吉本オーケストラのヴァンピリアなのかもしれない。 しっかし、こうも大層なオルタナティブ・ミュージックやってるのにも関わらず、こうも人気が爆発しないのは、そのあまりにもニッチな隙間を狙いすぎている音楽性だから...なんだろう。



【マッサカサマーウイカ】・・・あぶらだこの長谷川裕倫をゲストに迎えた”tasogare”は、静寂の中で独り寂しくこだまする雨漏りのような哀しいピアノと長谷川裕倫のキモい語り部に黄昏れる、まるでアニメ『惡の華』のED曲の”花 -a last flower-”の原曲をオマージュしたかのような前半から一転して、後半からはEfなどの北欧ポストロックライクなアプローチやポップなピアノをフューチャーしながら、マスいリズムをもってまるでカーニバルのように明るく楽しく、そしてカオティックに展開していき、そして最後は男の娘ことVelladonの美輪明宏ばりのオペラティックなボーカルを披露し、まるで一つのミュージカルを観ているかのような、空前絶後の壮大なクライマックスを迎える。これこそヴァンピリアのポテンシャルがフルに発揮された、まさにプログレッシブでアヴァンギャルド、まさしくブルータルオーケストラな楽曲と言える。そして、USBM界のトレモロマスターことKralliceMick Barrがゲスト参加している”good religion”は、本家KralliceLiturgy譲りのハイパー・メガ・トレモロ地獄の中で、優雅なピアノと優美なヴァイオリンがエクストリームに交錯するファストナンバー。再びツジコノリコをゲストに迎えた”dizziness of the sun”は、瀬戸内国際芸術祭関連事業のために書き下ろされたという、ツジコノリコのストーリーテラー感および母性に溢れた歌声とピアノを中心に、緩やかに抒情的な旋律をもって静寂のリリシズムを発揮しながら、内向きだった感情が徐々に外側に解放されていくような、あまりにも芸術的過ぎるナンバー。それこそ先ほどの”endless summer”じゃあないが、それよりもスティーヴン・ウィルソン氏の”The Raven That Refused To Sing”的な、まさしく”Post”な展開力と無限のスケール感を持った曲だ。そして実質本編ラストを飾る、再びBiSをゲストに迎えた「bombs」シリーズの”oops i did it again”は、BiSメンによるゲップや喘ぎ声や泣き声や叫び声などの不快な擬音に重厚なストリングスとピアノを加えた曲で、先ほどの”mirror mirror”をイメージして聴くとあまりのゲスっぷりに吐き気をもよおすこと請け合い。その最後にのぞ氏が「ありがとう」と卒業生からの答辞を述べる辺りも、より”BiSなりの卒業式”を感じさせて面白い。オマケにはマッサカサマーウイカ仕様もとい真部ちゃん仕様の”endless (massaka) summer””lilac”(perfect ending ver.)が収録されている。とりあえず、真部ちゃんはBiSだとウイカパイセン推しなのはわかった(えっ)。”lilac”の(perfect ending ver.)は、より映画音楽的なドローン/ノイズ風のアレンジに惹き込まれる。



【Post-感】・・・僕は、あくまでもアルセストスティーヴン・ウィルソン氏を中心とした”Post-Progressive”な立ち位置からしか、このヴァンピリアの楽曲を紐解くことが出来ないけれど、そんなヴァンピリアが普段から居るちょっとスカした立ち位置とは少し違った”俺の界隈”目線で聴いてみても、予想以上にツボにハマった感あるし、むしろ逆に本作のような本筋から少し逸れた日本企画盤だからこそ、ここまで今作を相対評価以上に楽しめてるんじゃあないか?って。やはり、それは賛否両論を生んだ相対性理論TOWN AGEと同じ”Post-感”だったり、一方で往年の相対性理論を思わせるシティ・ポップ感だったり、自分の好きな音が”ポップ・ミュージック”という枠組みの中で、強引ではなくあくまでも自然な形で一体化し、これはパスピエの楽曲作りの”うまさ”にも繋がってくる話なんだけれど、明らかに”ポップ・ミュージック”ではない音を一つのアルバムにパッケージしてしまうセンス、このヴァンピリアという名のお笑い芸人が持つ底知れぬ”Post-Pop”なセンス、もはや僕たちは新たなるポップ・ミュージックの夜明けを目の当たりにしているんじゃあないか?って。

【総括】・・・もちろん、国内外からのゲストを迎えてコラボした楽曲も素晴らしいが、ポストロックやポストプログレッシブに通じる”ポスト-リリカル”な展開力の高さこそ、このヴァンピリアの真骨頂だと僕は思っていて、そのポテンシャルがフルに発揮された「bombs」シリーズ、特にBiSが参加した”mirror mirror”みたいなリリックを大切にした曲を聴くと、どうしても歌詞カードを見ながらその世界観に没頭したくなるんだけど、いざ歌詞を見ながら楽しもうとしたら、アートワークの裏にクレジットが書いてある紙一枚だけの仕様だった...。一応は真部ちゃんが書いた歌詞を一つのウリとしているわけだし、その歌詞が創り出す独創的な世界観が今作の見せ場になっているからこそ、余計に最低限の歌詞カードは欲しかったなーと。まぁ、レーベルの懐事情がカツカツなのが伝わってきて逆にエモかったけど。あとメイドイン台湾という謎流通も実にエモい。欲を言うなら→(ありえないことだけど)その「bombs」シリーズの歌い手に”サブカル界のオボちゃん”ことやくしまるえつこが参加してたらビバナミダだったわ。これ、もはや今年のBESTアルバムと言っても決して過言じゃあない。しかしこうなってくると、長年の”アルバム出るよ出るよ詐欺”が遂に詐欺じゃなくなる1stフルに対して、更に大きな期待がかかるってもんです。

裏ジャケ

【アイドル×アーティスト】・・・”ポップなんだけどポップじゃない”、”ポップじゃないのにポップ”みたいな不条理な感覚と、一枚のアルバムに”アイドル””ブラックメタル”が何の違和感もなく平然と共存している頭のおかしさ、こんな”いともたやすく行われるえゲスない行為”は世界中探してもこのヴァンピリアにしかできないだろうし、ある意味、こいつらベビメタ以上に革命的なブッ飛んだ事やってるんじゃねーか?って。これはBiSを見れば顕著なんだが、ここ最近、いわゆるアイドルと一般的なアーティストとのコラボという名の”アイドルを利用したカネモウケ”が本当に増えてきている。この現象は、もはやアイドルとアーティストとの壁や垣根がなくなってきた、それこそ昨今の日本の音楽シーンを司る大きな流れなのかもしれない。そういった視点から音楽界隈を眺めてみると、ガラパゴス化したと言われている今の邦楽シーンは本当に面白いし、一方で洋楽がオワコンと呼ばれるのにも納得してしまう。当然、このヴァンピリアも抜け目がないというか、その辺のアンテナがシッカリしているバンドだということは、今作で既に証明済みだ。なにはともあれ、解散を目前にしてもなお僕を色々な意味で驚かせてくれるBiSメンには敬意を表したい。 あと裏ジャケには絵本タッチに可愛くデフォルメされたBiSメンが描かれているんで、これだけで研究員はマストバイなんじゃねーかなぁ。もちろん、”BiSなりの卒業式”的な意味でもね。

the divine move

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KATATONIAからドラムのDaniel Liljekvistが脱退

KATATONIA

     「get a normal job


スウェーデンの皇帝KATATONIAからドラマーのDaniel Liljekvistが脱退した。主な理由は、海外のバンドにありがちな『家族』の事を考えた結果、とのこと。約10年間、KATATONIAのドラマーとして人生を捧げてきた彼の存在は、プロデューサーのイェンス・ボグレンと共にこのKATATONIAがここまで大きくなれた理由、言わば裏の立役者だった。そんな彼がそれなりに有名なバンドマンとしての地位よりも、いわゆる”普通の仕事”の方を優先するなんて・・・ダニエルの深い心の内までは知る由もないけど、いま思えば一昨年にノーマン兄弟が似たような理由で脱退したのを皮切りに、同年にリリースされた9thアルバム『死の王』のまるで打ち込みのように生気のないドラミング、そして昨年のリメイク作『Dethroned & Uncrowned』が大きな決め手となったのか、今年このタイミングで脱退する伏線()はこれまでに沢山あった。



確かに、『Dethroned & Uncrowned』の時に音楽に特化したクラウドファンディングPledgeMusicでカンパを募っていたが、その時は「おっ、KATATONIAも流行りに乗って新しい試みに挑戦するのか!」くらいにしか思ってなくて、まさかその裏にこんな事情があったなんて・・・。正直、KATATONIAほどの大物ですらバンド一本で食っていけない現状に、あらゆる意味でショックを隠せない。しかし、これが今の音楽シーンの現状なんだって、無理やり自分を納得させた。確かに、このKATATONIAは音楽性も安定性のない情緒不安定なバンドではあるが、それでもメタル界隈でここまでの地位を築き上げてきたのにも関わらず、”get a normal job(ゲット・ア・ノーマル・ジョブ)”と言えちゃう人生...ステキやん。この脱退劇を見たら、あらためて僕が世界一リスペクトしているドラマー、その推しメンへの想いがより強固なものとなった。しかしノーマン兄弟、そしてドラマーのダニエルが脱退したとなると、今後のKATATONIAの路線に大きな影響を与えることは不可避で、同郷のOpethがミカエルのワンマンバンドになってしまったように、このKATATONIAもオリジナルメンバーのアンダースとヨナスのツーマンバンドになることは容易に想像できる。現に、それはここ最近の作品のクレジットを見れば顕著だ。しっかし、なぜスウェーデン人はそんなところまでインギーリスペクトなのか・・・。なにはともあれ、これにてKATATONIA黄金は終わりを告げ、物語はKATATONIA第二章へと繋がっていく。



約十数年前、鳴り物入りでKATATONIAに加入したダニエル君だが、僕がKATATONIAの最高傑作だと思っている2001年作の5thアルバム『Last Fair Deal Gone Down』から、持ち前のタイトでグルーヴ感のあるドラミング、そのポテンシャルを遺憾なく発揮していた。その時から既に、まだ少しあどけなさ(絶妙な不安定さ)を残しながらもどこか妖艶な雰囲気を醸し出していた。続く6thアルバム『Viva Emptiness』では、前作の倍ほどの手数の多さと俄然メタリックでアグレッシヴなドラミングを聴かせ、7thの『The Great Cold Distance』では5thの頃のタイト感から更に上品かつ献身的なプレイを身につけていた。そしてダニエルのドラマー人生、KATATONIA人生の集大成を飾る8thアルバム『Night Is the New Day』では、只ならぬ凄艶さと謎の貫禄を身につけ、もはや今作一番の聴きどころと言っていいほどのダーティ&アダルトなドラミングを披露していた。しかし、実質的に彼の遺作となった『Dead End Kings』では、これまでの色気のあるイキイキとしたドラミングは跡形もなく消え、その生気を失ったドラミングと比例するように、作品の完成度も決していい内容とは言えなかった。そもそもKATATONIAの曲って、基本的にダニエル君のドラムが発するタイトなリズム&グルーヴ中心に作られていて、その独特のリズム&ビートに合わせてアンダースのギターとヨナスのボーカルで肉付けしていくスタイル、つまりダニエル君のドラムがダメだと作品そのものがダメになってしまう。それを皮肉にも証明したのが『Dead End Kings』で、この作品だけドラムが後付っぽいというか、それまでの名作陣と比較しても唯一ドラムが主導権を握っていない作品なんだよね。つまり、この作品がダニエルの脱退を予言していた説。



僕は思う、違法ダウンロードを規制したらCDが売れるなどという幻想を追いかけているこのガラパゴス日本じゃあ、クラウドファンディングなんか一生かかっても根付かないし、そもそもその考え自体が根本的に間違ってるんじゃあないか?ってね。この話とは全然関係ないけど、この日本にも上陸間近と噂されるSpotify(スポティファイ)は非常に便利な音楽ツールだが、では作り手側がスポティファイを利用するメリット、利益って果たしてあるんだろうか?って。損得の比率が聴き手側に傾きすぎているんじゃあないか?決して作り手側の利益にはならないんじゃあないか?という疑いが晴れない。これはトム・ヨークの言葉にも繋がってくるんだけど、それはここでは割愛して・・・今回の件を踏まえて考えると、僕は現状のままではスポティファイの存在には反対だ。そのスポティファイやクラウドファンディングを利用した音楽の新しいカタチが徐々に広まっていき、音楽シーンおよび音楽制作の現場の変化が著しい昨今だが、今後の音楽シーン、特に聴き手側は”聴き手という名の支援者”と”聴き手という名の聴き手”の2つに大きく分かれていくだろう。そして今一度、日本の音楽好きに考えてほしい、「誰が音楽を殺すの?」かを。もしかするとそれが自分かもしれない、ということを。・・・という風に、自身に対する自虐や皮肉で話をまとめながらも、結局僕たちリスナー(聴き手側)がアーティストに対してできる主な事といえば→ライブを観に行ったり、音源(CDやBandcamp)やグッズを買って支援するくらいしかなくて、要するに僕が言いたいことはたった一言・・・

             get a normal job

                         もとい... 

ダニエル君の時として激しく、時として堅実(タイト)に、時として官能的(エロス)なドラミングを聴けええええええええええええええええええええええ!!(いともたやすく行われるえげつないアフィ)

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【4/14】 いいにおいのするALCEST Japan Tour 2014 名古屋編@池下CLUB UPSET

  僕、アルセストォォォォォ!!

・・・というわけで、本日(4/14)はフランスのレジェンドALCESTの来日公演、待ちに待った名古屋公演の日だ。当日から二日前に発券したのはいいけど、整理番号15番って・・・嫌な予感。しかも前回と同じハコでやるんだろうと思っていたら、今回は池下にあるCLUB UPSETでやるらしい・・・ん?

       池下CLUB UPSET...
                デフヘヴン...
観客が20人以下...
                             伝説の名古屋公演...
   実質、自分が最前...

           うっ、頭が・・・ 

という謎の体調不良に見舞われたため、実は当日の6時位までは行くのやめようかと考えてたんだけど、最終的に行かなきゃ(使命感)という神からの啓示を受けたので、なんだかんだで結局行くことにした。で、会場のある池下には7時40分くらいに到着。チケ受付にて”目当てのバンドは?”の問に「アルセスト(震え声)」という意味深なやり取りを終えて、いざ会場に入ってみると、そこにはフロアの中心であ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!と愛を叫ぶ謎の生命体の姿を確認。(おいおい、さっそく頭のおかしい客いるじゃん、勘弁してくれ・・・)と思ってよく見たらVampilliaのボーカルだった。(コイツら相変わらずぶっ飛んでんな...)とか思いながら、それを尻目に自分は→(あれ?真部は?デトックスは?えっ、サボり?ゴラアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!真部ええええええええええええええええ!!)ってなった。で、まぁ時間が時間だし、この曲で最後かな?と思った矢先に、まさかの名曲”endless summer”のイントロのピアノが流れだし、キター!と思ったのも束の間→「ん?でも語り部のツジノリコいないけど誰が歌うの?(あっ、察し...)」。ツジノリコに替わって→ボーカルの天パクソ野郎もといpossession mongoloidが「子供の頃のコンプレックスは天然パーマ」とか「だから小学校六年間は帽子かぶってた」とか、そして「雨の日は休んだ」というオチに会場爆笑。これはもうライブじゃなくて完全に音楽漫談だったね。しかし最後は気を取り直して普通に曲を披露して終わった。ライブが終わるとベースのmicci the mistakeが物販で最新作の『the divine move』を必死に売りさばいていた。その新作『the divine move』がなかなかの内容で、「ヴァンピリアってネタバンドじゃなかったんだ!」って少し見直したけど、しかし今回のライブを観たら「やっぱこいつら永遠のネタバンドだわ」ってなった。もうなんか吉本新喜劇と契約したらいんじゃねーかって。絶対人気出ると思うわ。

【加藤良三、Alcestの読み方をアルセストに統一】・・・さて、遂に本公演の目玉であるアルセストの登場だ。アルセストを観るのは前回の公演から約二年ぶり。様々な界隈で物議をかもしだした最新作『シェルター』のオープニングを飾るSEの”Wings”が流れ始めると同時にステージが幕を開ける。そして現代のナポレオンことネージュとドラマーのヴィンターハルター氏、そしてライブメンバーのゼロの使い魔と元Peste NoireのIndria Sarayが天使のように舞い降りてきた。相変わらず、このお兄ちゃんたちやる音楽ジャンル間違えてんじゃないの?ってツッコみたくなる可愛いビジュアルのギャップ萌え、ネージュもそうだけど特にゼロ氏のクソガリ体型にクソ萌えた(実際ネージュよりもゼロ氏の女々しくて女々しくて辛すぎる激萌えパフォーマンスに釘付けだった)。その流れで”Opale”を披露。立て続けに3rd『Les voyages de l'âme』からポストメタル感を押し出した轟音が心地よい”Summer's Glory”、新作の『シェルター』から”L'éveil des muses”、今はもう聴くことがなくなったネージュの絶叫が堪能できる”Là où naissent les couleurs nouvelles”を披露。そして今回の公演で一番聴きたかった『シェルター』から、リリカルに時を刻んでいくような”Voix Sereines”のクライマックスでは、(こ...これがアルセの最後のノイズ!このノイズを最期にアルセはアルセストに進化を遂げるんだ...)という謎の覚悟をもって聴かせてもらた。事実、最高としか言いようがなかった。その流れで表題曲の”Shelter”、「これはヴァンピリアに送る曲だよ」というネージュのMCから3rdのリードトラックの”Autre Temps”、「次はソフトな曲だよ」というネージュのMCから2ndの”Sur L'Océan Couleur de Fer”、その流れで同作いやアルセストの名曲”Percées de lumière”、そして本編ラストに名曲中の名曲”Souvenirs d'un autre monde”、アンコールには新作『シェルター』のクライマックスを飾る”Délivrance”を披露し、ネージュという名の聖人は名古屋という名の聖地(意味深)に、ALCESTの文字を美しきノイズと共に刻み込んでいた。特に”Délivrance”の美しすぎるコーラス音源を流しながら、メンバーが一人づつ退場してく演出は見事だと思ったし、それこそ最後を飾るに相応しい感動的なシーンだった。これがホントの神降ろし(髪下ろし)ってかぁ~?お後が宜しいようで。

セットリスト
OPSE:Wings
1.Opale
2.Summer's Glory
3.L'éveil des muses
4.Là où naissent les couleurs nouvelles
5.Voix Sereines
6.Shelter
7.Autre Temps
8.Sur L'Océan Couleur de Fer
9.Percées de lumière
10.Souvenirs d'un autre monde
EN
11.Délivrance

【アルセ派 VS, アルセスト派】・・・このセットリストを見ればわかるように、初期のアルセから今のアルセストまで万遍なく曲を披露し(初期のブラゲ感とここ最近のドリーム・ポップ感)、つまりアルセストの全てが詰まったとても充実した内容だった。けれども、やはり3rd『Les voyages de l'âme』からの曲が少し多めで、その3rdを引っさげた初来日ツアーを観ている身からすると、正直なところ3rdの曲に対して妙な食傷感を感じなくもなかった。と言っても、やっぱり名曲の”Percées de lumière””Souvenirs d'un autre monde”を聴いちゃうと「やっぱり初期のアルセがナンバーワン!」って思っちゃうんだからしょうがない。そして実際にライブで体感すると、いかに初期のアルセがブラゲ然としていて、ここ最近のアルセストがいかにドリーム・ポップ化していっているのかが顕著に感じる事ができた。ライブが始まった当初はあまり音は良くなかったけれど、曲数を重ねるに連れて徐々に良くなっていった印象。特に”Souvenirs d'un autre monde”の美しすぎるノイズには『神』を見たね。あと”Percées de lumière”で聴けるようなネージュの絶叫は今だ健在で、この辺はOpethのミカエルとは対照的だな・・・と思った。(あっ、この人叫ぶのやめた人ではないんだな)って、妙な安心感あった(いいとものタモリ感)。この日は仕事疲れも相まって、後半から特に”Sur L'Océan Couleur de Fer”以降は完全に淫夢という名のフェアリーランドの世界だったね。

【伝説の名古屋公演】・・・アルセ派かアルセスト派もしくは寺セスト派で謎の論争が巻き起こっている近頃のALCEST界隈だが、そんな人達もこのライブという名の黄金体験を体感してしまえば、いかに自分たちがクダラナイことで言い争っているのかが分かると思う。そんな綺麗事言っといてなんだが→ここで名案なんだけど、アルセと表記する人は初期派で、アルセストと表記する人は近年派という風に区別したらいいんじゃないか、って(対立煽り)。そんな冗談はさて置き→あらためて、名古屋飛ばしをしないネージュは人間の鑑だった!←そんな事は言わずもがな、まるで神々が舞い降りてくるかのような素晴らしいパフォーマンスで、それこそ終始いいにおいがフロアに充満するライブでした。まぁ、セトリに不満はなくもなかったけど、なんにしても二年ぶりに観てもやはりイイもんはイイ、それに尽きます。さすがに前回の初来日公演並とはいかないけど、フロアにほどほどにゆとりができるくらい、観客は盛って60人位は入ってた気がする。正直、月曜日の名古屋でこの入りは健闘したほうなんじゃあないか?よく知らんけど。しかしこうなってくると、次は来月に行われるデフヘヴンの来日公演に話が移ってくるわけで・・・前回の伝説の名古屋公演を超える最高(最低)記録を打ち出せるか?今から気になって夜も眠れない。楽しみだなぁ(ゲス顔)

フライヤー

【速報】 今年のSUMMER SONIC 2014にANATHEMAが参戦決定!!

Distant Satellites

6月にリリースされる10thアルバム『Distant Satellites』を引っさげて、いわゆる”俺の界隈”の頂点に君臨するANATHEMAが満を持してサマソニ2014に参戦きたあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああヤッダーバァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!! とりあえず、名曲”Untouchable, Part 1”のギターを合図にジャンプし始めた奴がいたらそれは僕です。そして俺の界隈の住人も俺と一緒にジャンプしてくれ!頼むぜお前ら!
 
ディスタント・サテライツ【CD】
アナセマ
ワードレコーズ (2014-06-04)
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