Welcome To My ”俺の感性”

墓っ地・ざ・ろっく!

2012年05月

Sunpocrisy 『Samaroid Dioramas』 レビュー

Artist Sunpocrisy
Sunpocrisy

Album 『Samaroid Dioramas』
Samaroid Dioramas

Track List
01. Apoptosis
02. Apophenia
03. Φ - Phi
04. Vertex
05. Trismegistus
06. Samaroid
07. Samaroid / Dioramas
08. Dioramas

イタリアはロンバルディア州ブレシア県出身の六人組、Sunpocrisyの1stフル『Samaroid Dioramas』が、昨年のBESTにも挙げたAmia Venera LandscapeやUSのEast Of The WallそしてIntronautを彷彿とさせる、イタリア産らしいポストハードコアライクなエモーショナルを飲み込んだプログレッシブなポストメタル/アトモスラッジを展開してて、これがなかなかに面白い件。についてなんだけど、このバンド、AVLみたいなカオティック路線ではなく、ズシズシとアグレッシヴに刻むリフを主体に構成された、初期のThe Ocean Collectiveっぽい俄然王道的なポストメタルをやってる印象で、怒涛な勢いで展開する目まぐるしいパートと繊細でエモーショナルな静寂パートとの暴美のコントラストがまた絶妙。で、ToolもしくはIsisからの影響がありそうなオルタナっぽい所も一つのポイント。まるでジャケのような天地創造を表現するイントロの#1で始まり、約10分を超える大作の#2,#3でご挨拶とばかりの轟音を撒き散らし、テクニカルなアプローチを見せる#6、再び長尺の#7,#8まで、デビュー作でこの内容は申し分ないです。
 
Samaroid Dioramas
Samaroid Dioramas
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Sunpocrisy (2012-02-15)

KATATONIAの新作『Dead End Kings』が8月にリリース決定ッ!!

スウェーデンが誇る”俺の界隈”の皇帝KATATONIAの新作タイトルが『Dead End Kings』に決まった模様。今回のジャケも毎度のトラヴィス・スミス氏が担当。そしてなんとッ!!(FBでもゲストは誰でしょう的なこと言うてたけど)本作のゲストにはTHE GATHERINGSilje Wergeland姐さんが#7で参加してるらしく(ギャザの新曲”Heroes For Ghosts”ばりのスゴ味を期待ッ)、正直意外やなぁって一瞬思ったけど、冷静に考えると別に驚くことなんか何もない、ただの必然的な”引かれ合い”だった件。個人的な願望も込めて、ゲストにはANATHEMAヴィンセントかッ!?って予想してたけど、実際はまぁそう遠からずなゲストで。つうか、ANATHEMAの”アレ”を超える可能性があるのは唯一Kataの新作しかないと思うので、これはマジに期待してます。

追記・・・そのTHE GATHERINGのできたてホヤホヤの新曲”Meltdown”がおかしなことやっとる。化け過ぎ・・・。

以下はジャケとトラックリスト
01. The Parting
02. Hypnone
03. Undo You
04. The Racing Heart
05. Buildings
06. Leech
07. The One You Are Looking For Is Not Here (with Silje Wergeland)
08. First Prayer
09. Ambitions
10. Lethean
11. Dead Letters

kata

Eths 『III』 レビュー

Artist Eths
Eths

Album 『III』
III

Track List
01. Voragine
02. Harmaguedon
04. Gravis Venter
05. Inanis Venter
06. Sidus
07. Proserpina
08. Hercolubus
09. Praedator
10. Anatemnein

フランスはマルセイユ出身の五人組、Ethsの約五年ぶりとなる通算三作目『III』は、霧の季節へと移籍して初のアルバムで、その作風としては、一昔前の叙情派メタルコアっぽい俄然モダンなサウンドへと歩み寄っている感があるものの、紅一点Voキャンダイスのゲロゲロゲボゲボ~なマジキチシャウトやヤンデレ系ボイスやヌー・メタル~オルタナティブ・ヘヴィライクなGリフなど、持ち味であるマジキチ度が減ってキレイめなEthsになってはいるが、Ethsらしい病的なまでにエグいフレンチフェミニン的世界観は不変で、というより、The Agonistっぽくなったっつー例えが一番分かりやすいか。そんな感じで、過去二作は90sヌー・メタの後追いで、今回は00sのメタルコアの後追いをやってる感がいかにもフランスのバンドってな感じで、おいら嫌いじゃないです。



III -French Edition-
III -French Edition-
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Eths
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In Mourning 『The Weight of Oceans』 レビュー

Artist In Mourning
In Mourning

Album 『The Weight of Oceans』
The Weight of Oceans

Track List
01. Colossus
03. From A Tidal Sleep
04. Celestial Tear
05. Convergence
06. Sirens
07. Isle Of Solace
08. The Drowning Sun
09. Voyage Of A Wavering Mind

いわゆる”Opeth-Style”の正統な後継者である、北欧スウェーデンはダーラナ県ファールン市出身の若手五人組、In Mourningの約二年ぶりの新作で、レーベルをPulverisedからSpinefarmにグレードアップしての通算三作目『The Weight of Oceans』なんだけど、本作にて遂にあのイェンス・ボグレンとの運命的、いや、必然的な”引かれ合い”が実現ッ!!・・・というのは真っ赤な嘘で、Toolに匹敵する”あのキザミ”を擁したデビュー作にして最高傑作の1stShrouded Divine”俺の界隈”に大きな衝撃を与えた彼らだが、Scar SymmetryJonas Kjellgrenをエンジニアとして迎えた前作の2ndMonolithでは、近年Katatoniaも取り入れたMeshuggahGojiraにルーツを置く今風のヘヴィネスや”メタル界のケビン・ベーコン”ことトビアス(Vo,Gt)のボーカルパートなど、名盤1stとの差別化を図るため新しい試みに挑戦し、自分達の音を模索していた感が強かったにも関わらず、しかしその内容は確かな成長を感じさせていた。で、再びッスカシンのヨナスと共にBlack Lounge Studiosで録音が行なわれ、マニアの間では有名なKristian Wåhlin氏が手掛けたクトゥルフ神話大好き♡なアートワークからして実に”epicッ!!”な精神を宿す本作品は、前作にあった”チグハグ感”とやらを吹き飛ばす、”凄み”に満ちた文句なしの傑作で、前作で新たに示した方向性をヘンにヘタにイジらず、1stを想起させる胸が熱くなるほど、そして勇壮なまでにepicッ!!な、あのInsomniumもビックリの扇情的な叙情性と繊細でエモーショナルな色気をもって、そして広大なスケール感と共に激しい荒涼感を撒き散らしながら俄然プログレッシブに展開していく、最早あのモノリス君は踏み台にしか過ぎなかったと、そう言わしめるコイツらやっぱスゲーです。単純に、ありのまま素直に作品のクオリティと着実な成長を伺わせる一枚となってて、トリプルGソロのメロっぷりだったり、メシュガニキに敬意を示すガッガッガッガッPost-djentッ!!的なグルーヴ系リフだったり、やっぱここ最近の若手では一番面白い、というか、至極真っ当なメタルやってるなぁと再認識するわけです。何はともわれ、ドラムの音がやっと”まとも”と呼べるようになったのもポイント。1st&2nd共に妙なクセがあったからね(笑

 本作では俄然”ポストスラッシュ”を意識したキザミを多用してて、1st的な”あのキザミ”とは少しベクトルが違うかもしれないが、少なくとも前作よりは1stを意識したかのような、気持ちのいいナチュラルなキザミを聴かせる印象。で、威厳を醸し出す轟き叫ぶようなリフの地鳴らしにより、古代石造都市ルルイエに封印された神クトゥルフをこの地上へと召喚する#1”Colossus”からして、Gリフ&Gソロ&美メロ&epicッ!!&グロウルなど全てにおいて前作を凌駕した堂々たる風格を漂わせ、クトゥルフ出現により荒れ狂う大海原を巧みに表現した#2”A Vow To Conquer The Ocean”でのギタリストBjorn PetterssonによるThe Ocean系Sludge/Hardcoreライクなスクリームもヒッジョーにイカすポイントで、トビアスのエモーショナルなクリーンボイスをスウィーティに聴かせる#4、イントロから超絶epicッ!!なリフでテンションを昂揚させる大作の#5”Convergence”は、これぞまさしく”プログレッシヴ”な曲で、本作一番の見せ場となっている。続く#6の物悲しいピアノインストもなかなかに新鮮な演出で、小刻みなリフで聴かせる#7、グルーヴィなウネりフを擁した大作の#8、そして役目を終えた神クトゥルフが”アリーヴェ・デルチ”とか言いながら海底へと沈んでいく#9まで、後半もしっかりと”聴かせる”流れで最後まで飽きさせない。

 正直、この手の音楽を本格的に聴き始めた2008年に、In Mourningの1stをBESTに入れたのはおいらのブログ含め世界でもかなり少数だったと思うんだが、あの時にコイツらの1stを聴いてなかったら、今聴いてる音楽ジャンルも全く違うものになってたかも知れない。それほど、あの時の彼らの存在が今の”俺の感性”に多大な影響を与えたのは間違いないし、この辺はドヤ顔で言わせてもらうんだが、ほとんどの人(日本語圏)がおいらのブログで初めてIn Mourningの存在を知ったと思う。なんだかなんだ、あれからトントン調子にレーベルのグレードも上げ、メンバー固定のまま順調に活動されてるようで嬉しい限りなんだが、要するに、あの頃の”俺の感性”は何一つ間違っちゃいなかった、という証明的なナニかッ。そして、それは今も変わらないままだ。何はともあれ、影響されるべき者たちから正しく影響された結果=神クトゥルフが誕生したわけで、やっぱコイツら本物です。

 言わずもがな、伝説の1stは超えてないにしろ、前作モノリス君よりは確実に上です。つまりJonas Kjellgrenとやれる事は本作で全てやりきった、と。つまり次作は安心してイェンス・ボグレンと引かれ合ってほしい(切実) 。つうか、もうイェンスしかコイツらウマく料理できる人いないでしょ。そこでまさかのSWッ!?ねーか。

The Weight of Oceans
The Weight of Oceans
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In Mourning
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Storm Corrosion 『Storm Corrosion』 レビュー

Artist Storm Corrosion
Storm Corrosion

Album 『Storm Corrosion』
『Storm Corrosion』

Track List
2. Storm Corrosion
3. Hag
4. Happy
5. Lock Howl
6. Ljudet Innan

かのスティーヴン・ウィルソン先生とミカエル・オーカーフェルトによるコラボが遂にッ実現した本プロジェクトの名はStorm Corrosion、気になるその音楽性としては、まるで『世にも恐ろしいグリム童話』のような二次元世界へとトリップした錯覚を覚えるほど、鬱々しく狂気的なMVが見所の#1”Drag Ropes”や《美と狂気が反響する奇人たちの晩餐会》を描いたタイトルトラックの#2”Storm Corrosion”をパッと聴いた感じ、SWソロ最新作Grace For Drowningを踏襲した形に見せかけつつも、それ以降は内省的かつサイケデリックそしてexperimentalな、どちらかと言えばSWソロ1stInsurgentesを想起させる、病的で陰鬱なキモkawaii世界観に重きを置いた感じで、さすが約十年来の付き合いがあるこの二人だけあって(意味深)、互いに共鳴し合う感性が嫌味なく融け合うことにより、深淵に潜む幽玄世界からヌーっとその姿を覗かせる”奇妙奇天烈”な味わい深き音世界は、ANATHEMAの新譜Weather Systemsでもお馴染みのデイヴ・スチュワートによるアレンジが施されたロンドン・セッション・オーケストラの凛としたストリングスやSWの1stを想起させる内省的な暗鬱感を醸し出すAmbient的な音使い、そしてOpethの中期を彷彿とさせるアコギを中心としたフォーキーな香りと二人の男達が醸し出す大人のフェミニズムが神業的に調和した結果、『シブイねェ・・・ まったくおたくシブイぜ・・・』と言わざるをえない、実にアダルティな作品に仕上がっている。

 本プロジェクトの主導権はやはりSW先生側にあり(特に#3や#4そして#5なんかはSWの独壇場)、本作は一応ボーカル入りではあるが、PTやOpethからイメージされる”歌っている”といった印象は至極薄くて、ストリングスやアコギの流れるようなインストで構成された奇妙な物語に身を任せる感じで音と同化したイメージ。で、劇的な展開だったりとかそういった派手な場面は一切なくて、 マッタリとジックリと聴かせるタイプのリスニング音楽というか、人によっちゃあ”退屈”だと思われそうな感は正直あるが、この二人がコラボして”全く新しいこと”をやろうと思って実際にやってみたら”自然とこうなった”感じは凄い伝わってくる。だいぶ前に”ニセ”の音源を聴いた時は、Opeth『Damnation』みたいな曲でイイやんッ!!って見事に騙されたんだが、”俺の界隈”の重役を担うこの二人からなるStorm Corrosionが繰り広げるその音世界は確かに、PTOpethそしてSWソロとは確実に一線を画した無二の音世界が存在している。期待したほどの衝撃はないかもしれないが、この二人にしか成し得ない”少しだけ玄人向け”の音世界が楽しめます。当然オススメ。ちなみに本プロジェクト、噂ではマイク・ポートノイも参加する予定だったらしいが、今回残念ながらそれは実現せず、本作のドラムはPTでお馴染みのギャビンさんです。



Storm Corrosion: Special Edition
Storm Corrosion
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