Artist Les Discrets

Album 『Ariettes oubliées...』

Track List
現代のナポレオンことネージュ率いるフレンチ・シューゲイザーの長Alcestの兄弟分であり、伝説的ポストブラックAmesoeursのメンバーで構成された、文字通り”芸術家”のFursy Teyssierを中心とする三人組、Les Discretsさんの約2年ぶりの二作目『Ariettes oubliées...』なんだけど、Fursy氏お手製のフレンチアニメを音で表現したかのような、まるでガラス細工のようにきめ細かなタッチで描かれた芸術的音世界を創造し、この手の界隈に衝撃を与えた2010年作の1stフル『Septembre et ses dernières pensées』とは一味違った肌触りを持つ本作品、まず一番に気づくのはFursy氏の歌い方の変化や本格派ダーク・フォーク/ドゥーム・シューゲリフを擁した、終末思想を唱える破滅的/暗黒的ドゥームネスの減退だったりと、その荒涼感を伴った寂しく孤独な空間が存在した1stよりは俄然美術的/芸術的な方向へと立ち位置を変えたというか、南フランスの温かな情緒を肌で感じる和音を擁した神々しいまでの耽美なメロディや、慟哭/昂揚感を煽る実にepicッ!!なメロディを取り入れたことにより、俄然彩り豊かで絢爛な音に変わったというか、まるでルーヴル美術館に飾ってある絵画の世界へと迷いこんだような、”繊細” ”優雅” ”気品”に溢れた音が靭やかに反響する夢と芸術のファンタジアへ、主催FursyとAudreyによる闇夜に徘徊する亡魂たちの霊妙な舞踏会へと聞き手を誘い込み、要は全体的に兄貴分のAlcestライクな淡い儚系ポストロック/シューゲへと歩み寄った感が強く、中でもその”アルセ化”を俄然象徴する長編の#2”La traversée”や#4”Ariettes oubliées I: Je devine à travers un murmure...”を耳にすれば理解ッできるハズだが、まるでフレンチ映画を観ているかのような(#4のMV的に考察すれば『シルビアのいる街で』ライクな)、一つ一つのシーンを自然体のまま且つ情緒的に演出するリリカルな感動と共にざわめき始める心のカタルシスに、俺たちは胸を掻き毟りたくなるほどの衝動を抑えきれないまま、”幸”と”不幸”が複雑に交錯する淡い思ひでの中を、無我夢中で駆け抜け、永遠と彷徨った末に辿り着いた彼女の墓前を目の前にして、徐々に薄らいで行く彼女と過ごした記憶が瞬く間に甦り、背徳感を背負いつつ喪に服しながらそっと天を仰いだ後、俺たちは胸が張り裂ける想いを我慢する事ができずに、恥じらいもなくその場で只々うなだれ、声を大きくして泣き崩れる・・・ゥワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
本作を一言で表すなら”慟哭”という言葉で、その”慟哭”感というのを強く印象づける#6”Au creux de l'hiver”(作曲はAudrey Hadorn)の名曲っぷりや、映画好きにはたまらないドラマ仕立てのMVになってる#4からは特に、本作の”凄み”や”epicッ!!”な精神性を感じる事ができる。結論としては、前作にはあった無二の独創的な音楽性=オリジナリティというのは薄れたかもしれないが(音質面に関してもそれは言える)、それらのマイナス面を補うほどのシネマティックな世界観と完成度を誇っている。アバウトな例えだが、イメージ的には二次元的なのが前作で、三次元的なのが本作。もはや、Fursy Teyssier氏の”表現者”としての才能が開花したといっても過言ではない。それほどに充実した一枚だ。当然至極、あるけすとの新譜より良いです。俺達があるけすとの新譜に期待していた”凄み”が本作にはあります。前作で既に感じた人も居るかも知れないが、改めて本作にて、Les DiscretsがAlcestの存在を超えた瞬間を目の当たりにし、そう、Les Discretsさんこそ、ヒップスター界の真の皇帝ナポレオンとなる・・・。
ところで、Fursy Teyssier氏が手掛けたGhost BrigadeのMVも良かったが、それを上回る今年のBESTMV賞となるであろう#4についてちょっとなんだが、主演男優にFursy、女優にAudrey、そして助演男優にWinterhalterが演じる本MVは、序盤のストーキングシーンのカメラワークは『シルビアのいる街で』の手法を応用してるんだが、すれ違う恋心をより儚くそしてリアルに表現する3分3秒の絶妙な途切れ方の演出も実に巧くて、トドメは4分50秒でのWinterhalterの圧倒的な窓際族的存在感が、要するに実にMerci、実にBonjour、実にBonsoir、というわけなんだ。
主演男優賞: Fursy Teyssier 女優賞: Audrey Hadorn 助演男優賞: Winterhalter

Album 『Ariettes oubliées...』

Track List
01. Linceul d'hiver
02. La traversée
03. Le mouvement perpétuel
05. La nuit muette
06. Au creux de l'hiver
07. Après l' ombre
08. Les regrets
現代のナポレオンことネージュ率いるフレンチ・シューゲイザーの長Alcestの兄弟分であり、伝説的ポストブラックAmesoeursのメンバーで構成された、文字通り”芸術家”のFursy Teyssierを中心とする三人組、Les Discretsさんの約2年ぶりの二作目『Ariettes oubliées...』なんだけど、Fursy氏お手製のフレンチアニメを音で表現したかのような、まるでガラス細工のようにきめ細かなタッチで描かれた芸術的音世界を創造し、この手の界隈に衝撃を与えた2010年作の1stフル『Septembre et ses dernières pensées』とは一味違った肌触りを持つ本作品、まず一番に気づくのはFursy氏の歌い方の変化や本格派ダーク・フォーク/ドゥーム・シューゲリフを擁した、終末思想を唱える破滅的/暗黒的ドゥームネスの減退だったりと、その荒涼感を伴った寂しく孤独な空間が存在した1stよりは俄然美術的/芸術的な方向へと立ち位置を変えたというか、南フランスの温かな情緒を肌で感じる和音を擁した神々しいまでの耽美なメロディや、慟哭/昂揚感を煽る実にepicッ!!なメロディを取り入れたことにより、俄然彩り豊かで絢爛な音に変わったというか、まるでルーヴル美術館に飾ってある絵画の世界へと迷いこんだような、”繊細” ”優雅” ”気品”に溢れた音が靭やかに反響する夢と芸術のファンタジアへ、主催FursyとAudreyによる闇夜に徘徊する亡魂たちの霊妙な舞踏会へと聞き手を誘い込み、要は全体的に兄貴分のAlcestライクな淡い儚系ポストロック/シューゲへと歩み寄った感が強く、中でもその”アルセ化”を俄然象徴する長編の#2”La traversée”や#4”Ariettes oubliées I: Je devine à travers un murmure...”を耳にすれば理解ッできるハズだが、まるでフレンチ映画を観ているかのような(#4のMV的に考察すれば『シルビアのいる街で』ライクな)、一つ一つのシーンを自然体のまま且つ情緒的に演出するリリカルな感動と共にざわめき始める心のカタルシスに、俺たちは胸を掻き毟りたくなるほどの衝動を抑えきれないまま、”幸”と”不幸”が複雑に交錯する淡い思ひでの中を、無我夢中で駆け抜け、永遠と彷徨った末に辿り着いた彼女の墓前を目の前にして、徐々に薄らいで行く彼女と過ごした記憶が瞬く間に甦り、背徳感を背負いつつ喪に服しながらそっと天を仰いだ後、俺たちは胸が張り裂ける想いを我慢する事ができずに、恥じらいもなくその場で只々うなだれ、声を大きくして泣き崩れる・・・ゥワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
本作を一言で表すなら”慟哭”という言葉で、その”慟哭”感というのを強く印象づける#6”Au creux de l'hiver”(作曲はAudrey Hadorn)の名曲っぷりや、映画好きにはたまらないドラマ仕立てのMVになってる#4からは特に、本作の”凄み”や”epicッ!!”な精神性を感じる事ができる。結論としては、前作にはあった無二の独創的な音楽性=オリジナリティというのは薄れたかもしれないが(音質面に関してもそれは言える)、それらのマイナス面を補うほどのシネマティックな世界観と完成度を誇っている。アバウトな例えだが、イメージ的には二次元的なのが前作で、三次元的なのが本作。もはや、Fursy Teyssier氏の”表現者”としての才能が開花したといっても過言ではない。それほどに充実した一枚だ。当然至極、あるけすとの新譜より良いです。俺達があるけすとの新譜に期待していた”凄み”が本作にはあります。前作で既に感じた人も居るかも知れないが、改めて本作にて、Les DiscretsがAlcestの存在を超えた瞬間を目の当たりにし、そう、Les Discretsさんこそ、ヒップスター界の真の皇帝ナポレオンとなる・・・。
ところで、Fursy Teyssier氏が手掛けたGhost BrigadeのMVも良かったが、それを上回る今年のBESTMV賞となるであろう#4についてちょっとなんだが、主演男優にFursy、女優にAudrey、そして助演男優にWinterhalterが演じる本MVは、序盤のストーキングシーンのカメラワークは『シルビアのいる街で』の手法を応用してるんだが、すれ違う恋心をより儚くそしてリアルに表現する3分3秒の絶妙な途切れ方の演出も実に巧くて、トドメは4分50秒でのWinterhalterの圧倒的な窓際族的存在感が、要するに実にMerci、実にBonjour、実にBonsoir、というわけなんだ。
主演男優賞: Fursy Teyssier 女優賞: Audrey Hadorn 助演男優賞: Winterhalter
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