
ドイツはベルリン出身のスラッジ系オルタナティブ・メタルバンドの5人組、
THE OCEAN の通産5作目「Anthropocentric」を紹介。
01. Anthropocentric ★★★★★
02. The Grand Inquisitor I: Karamazov baseness ★★★★☆
03. She Was The Universe ★★★★★
04. For He That Wavereth... ★★★★
05. The Grand Inquisitor II: Roots & Locusts ★★★★★
06. The Grand Inquisitor III: A Tiny Grain of Faith ★★★★☆
07. Sewers Of The Soul ★★★★
08. Wille Zum Untergang ★★★★★
09. Heaven TV ★★★★☆
10. The Almightiness Contradiction ★★★★
今年の3月頃にリリースされた前作「Heliocentric」の続編に当たる、通産で5作目となる本作の「Anthropocentric」は、正直いってパッとしなかった前作(2曲目と3曲目は良かった)を圧倒的に凌駕する内容で、全体的に激しくメタリックではあったものの、ジャケのイメージと同調するかの如く、「無色」というか「無機質」な感触があったその「Heliocentric/太陽中心」と今作「Anthropocentric/人間中心」を比較してみると、今回のアルバムは明確な「色」というのが音から伝わってきて(ジャケからも)、主にUKのOceansize やスウェーデンのEf などを思わせるポスト・ロック的なアプローチが俄然と強くなり、その繊細でいて神秘的かつスペーシーなメロディをより多く聴かせる「メロウ」なサウンドが主体となり、カオティック・ハードコアな「激しさ」と初期のMastodon 的な「野獣化」を増すスラッジーな轟音グルーヴと、今作のキーポイントとなる優しくて心地よいメロウネスとのExperimentalなマッチングにグッとココロ引き寄せられる名作がココに誕生なのだ。そう!!まさしく「人間こそが世界の中心だ!!」的な内容なんだ。・・・えっ
まずはタイトルトラックとなる1曲目の”Anthropocentric”からしてハンパなくて、前作の2曲目”Firmament”的な匂いを漂わせつつも、溢れんばかりのダイナミズムな轟音を主体にプログレ・メタル的な展開を見せる大作で、4分20秒あたりからのガチオペスでいてアトモスフェリックな「静」パートを聴いて天文学のお勉強しようと思ったけどやっぱやめた。とにかく重~いリフが脳天直撃する2”Karamazov baseness”の中盤からの展開を聴いてやっぱ天文学の勉強しようと思ったけど2秒でやめた。Deftonesばりにウネリまくる激重グルーヴがハンパない3曲目”She Was The Universe”のクリーン・パートを耳にしたらOceansizeを聴いてるような錯覚に陥った。ポスト・ロックな甘いメロディがホッと「ひと息」の安らぎを与える4の”For He That Wavereth...”、スラッジーに迫りくる重厚な音の荒波やザクザクザクザクと気持ちよく刻むGやらでスピーディなテンポでプログレッシヴに展開するポストHCちっくな5の”Roots & Locusts”、”The Grand Inquisitor”シリーズのラストとなる6曲目の”A Tiny Grain of Faith”では、ミステリアスェ・・・アトモスフェリックェ・・・なフィメールVoをここぞとばかりに挿入して、作品に絶妙なアクセントを与える場面にはなかなかの「凄み」を感じさせます。マス・メタルばりに激しくカオティックに展開する7の”Sewers Of The Soul”、切なげな美メロに癒され、スウェーデンのEfっぽいエモーショナルな叙情感が溢れ出すポスト・ロックな8の”Wille Zum Untergang”、テクニカル・メタルコアとでも呼べそうな、激しくてマスい9の”Heaven TV”、ヴァイオリンが奏でる美しくも荘厳な音色とポスト・ロックなメロウネスが優しく絡み合う10の”The Almightiness Contradiction”でラストを美しく彩ります。
捨て曲なんて一切ナッシングで、前半は「スラッジ」「グルーヴ」「プログレッシヴ」な感度が強い「轟音の荒波」がリスナーに襲いかかり、後半は「ポスト・ロック」な感度が強い「メロウ」な感覚で展開します。フィメールVoを擁した6曲目の存在感はとても重要な曲。ギターのリフや曲調の幅が狭過ぎて飽きが早かった前作よりも、今回はギターや曲調+展開の幅が広くなってて、最後まで飽きずに聴けるバラエティに富んだ流れとなってるんだ。一応は「続編」という位置づけではあるものの、もはや何もかもが前作とは一線を画している、完全に「別もの」だという事は確か。・・・だからといって、「前作の存在意義って・・・」とか言うたら絶対にアカンでー。
つーかこのバンドってさ、つい最近新作をリリースしたOceansizeと感覚がちょっと似てるよなーって、今作を聴いたら一層その思いが強くなったよ。いわゆる「静」のパートなんかでは特にそれを感じる。おっさんサイズの新作の一曲目なんて完全にThe Oceanだったしねw「おっさん」同士、相性抜群ですね。今は黄金アルバムをリリースしたANATHEMA のサポートでEUを回ってるけど、おっさんサイズと一緒にツアーすんのも時間の問題か!?
という感じで、僕みたいに前作がイマイチに感じたって人に是非とも手にしていただきたい汚名挽回作なり・・・!!2010年度BESTイン作品!!
8.0 + / 10 点
Anthropocentric
posted with amazlet
at 10.11.27
Ocean
Metal Blade (2010-11-09)
売り上げランキング: 13764
Metal Blade (2010-11-09)
売り上げランキング: 13764