
USはジョージア州サバンナ出身のツイン・ドラムを擁するヘヴィ・サイケバンド、KYLESAの約1年振りとなる通算5作目「Spiral Shadow」を紹介。
01. Tired Climb ★★★★★
02. Cheating Synergy ★★★★☆
03. Drop Out ★★★★★
04. Crowded Road ★★★★☆
05. Don’t Look Back ★★★★
06. Distance Closing In ★★★★
07. To Forget ★★★★☆
08. Forsaken ★★★★☆
09. Spiral Shadow ★★★★☆
10. Back And Forth ★★★☆
11. Dust ★★★★
昨年、MASTODONの「Crack the Skye」と並ぶ世紀の大名盤「Static Tensions」をリリースした、ジョージア州サバンナ出身の5人組、KYLESAの約1年ぶりとなる新作「Spiral Shadow」なんだけど、本作はSeason of Mistにレーベルを移籍して初となる作品で、一通り聴いてまず感じたのは、前作で聴けたような激しい「ハードコア」な要素が薄くなってて、その代わりに「サイケデリック/エクスペリメンタル」な方向性に軸が向いている作風だなぁという印象がまず一番にあり、少なくとも前作の怒涛な勢いで迫りくる「激重暗黒ドロドロ・デロデロ・ヘヴィ・サイケ路線」を踏襲した形ではなく、Baronessを手掛けたプロデューサーを起用した影響なのか、そのBaronessっぽい感覚が強くあったり、それと同時にUSはロス出身のBlack Math Horsemanを彷彿とさせる「サイケ/ストーナー・ロック」的な、Experimentalな感触を持った作品となっているんだ。分かりやすく言っちゃえば、前作から「ハードコア」な要素を抜き取って、「サイケ/ストーナー」な要素を強めた感じ。今回はスラッジというよりはストーナー寄りの感性で「ヘヴィ・サイケ」を表現しました的な。
言うても、彼らの持ち味となるのは前作「Static Tensions」のドロドロかつデロデロかつブリブリな、洗練などされていない「アンダーグランド」な「地下系暗黒グルーヴ世界」だと思うし、フィリップとラウラ姉御がケモノばりに激しく叫ぶ場面も少なくなってるし、アグレッシブな勢いやお得意のグルーヴ感とやらも減退しており、その辺も含めて、前作と比較しちゃうと如何せん大人し過ぎるよーな気がするんだ。歌メロやリフのフックも前作より劣るし(今回のリフは比較的単純でシンプルな作り)、前作で聴かせたような「プログレス」な感覚がなくなってるのも個人的に超残念なところ。しかし、とてつもなく「大化け」した前作を経験して一皮剥けたというか、前作から今作までの一年でだいぶ熟成されたサウンドに変わったのは確か。なんだけども、個人的には前作のが圧倒的に好きだし、単純に作品の質も前作のが上です。ってか、約1年ぶりのリリースなのに作品の質を問うのは酷ってもんかな。だね。逆にいえば、一年のペースでこのクオリティは流石。
前作流の「ヘヴィ・サイケ」を踏襲した1曲目の”Tired Climb”から4曲目の”Crowded Road”までドドドッ!!っと展開し、5曲目の”Don’t Look Back”以降は「前作との違い」を明確にするストーナー寄りの楽曲が多く続き、7曲目の”To Forget”なんかだと特にBlack Math Horsemanを彷彿とさせるし、タイトルトラックの9曲目なんかはめっちゃストーナーな香りがする。やっぱり、前作を神だと崇拝しているオイラ的には前半の曲のが好みだけど、「New KYLESA」を体験させてくれる後半の曲も実に味わい深いです。全体的にミドルテンポの曲が中心で、そう、前作が「勢いで聴かせるアルバム」ならば、今作は「ジックリと聴かせるアルバム」というイメージが合うかもしれないね。
結論をいうと、前作ほどの「中毒性」や「凄み」はないけど(ジャケのインパクトも)、相変わらずExperimentalな「ヘヴィ・サイケ」の良作で、余裕で今年のBESTインっす。ホント、いいバンドになったよなぁ~って、シミジミとそう思いました 笑
8.0 / 10 点
Spiral Shadow
posted with amazlet at 11.01.16
Kylesa
Season of Mist (2010-11-09)
売り上げランキング: 26393
Season of Mist (2010-11-09)
売り上げランキング: 26393