
元EVANESCENCE のリーダー ベン・ムーディ(G)を中心に結成されたUSのニュー・バンド、WE ARE THE FALLEN のデビュー作「Tear The World Down」を紹介。
01. Bury Me Alive ★★★★★
02. Burn ★★★★☆
03. Paradigm ★★★☆
04. Don't Leave Me Behind ★★★★☆
05. Sleep Well, My Angel ★★★☆
06. Through Hell ★★★★
07. I Will Stay ★★★
08. Without You ★★★★★
09. St. John ★★★★☆
10. I Am Only One ★★★
11. Tear The World Down ★★★★☆
EVANESCENCEを脱退したベン・ムーディ(G)を中心に結成され、同じく元Evanescenceのメンバー ロッキー・グレイ(Dr)とジョン・ルコンプ(G)も在籍し、フロントマンに”アメリカン・アイドル 07”のファイナリスト カーリー・スミスソンを擁する WE ARE THE FALLENのデビュー作「Tear The World Down」なんだけど、その音楽性というのは、バンド名に”Fallen”というキーワードをご丁寧に付けている位ですから、それはそれは今更言わずもがな、往年のEVANESCENCEサウンドを一応は踏襲した「ゴシック/シンフォ系オルタナティブ・ロック」ではあるんだけども、そのサウンドの母体となる「EVANESCENCE」との完全な差別化を図るためなのか、このWATFは、欧州のバンドかと勘違いしそうなほどシンフォニックなストリングスやピアノの音を全面に聴かせ、更にはギターがとてもメロディック/叙情的だったり、ゴリゴリっとヘヴィでメタリックな音を聴かせる場面があったりと、いわゆる「オルタナ・メタル」っぽさを強く強調したサウンドで、Lacuna Coil の新作みたいな「モダン・ヘヴィ」っつーか、、、兎に角そんな感じのキャッチーなメインストリーム系ロックをやっとります。正直、エバネというよりは、今のLacuna CoilやWithin Temptation の方が音的に近いと思う。あと、USツアーに同行したHIM っぽいメランコリックな要素もあったり。つまり、エバネよりはオーソドックスな「メタル」寄りって事かな。同時に「欧州ゴシック」寄りでもある、と。エバネのアルバムを聴いて、「もうちょっとギターを聴かせてくれればなぁ・・・」ってな感想を持った人には、その欲望を十分に満たしてくれるバンドだと思うよ。メタル寄りの音楽をメインに聴く人ならば、間違いなくエバネより気に入るんじゃないかな。なんとなくだけど、ベン達がエバネを脱退した理由である「音楽性&方向性の違い」というのがどういうモノなのか、ちょっとだけ分かったような気がした。
「アメリカン・アイドル 07」出身者のカーリーの歌声は、これも言わずもがな、EVANESCENCEのエイミーにソックリクリソツで、そのエイミーを絶対に意識しているであろうパワフルな力強い歌い方からしても、EVANESCENCEの皮を被ったバンドとして聴けちゃいます。比較してみると、カーリーの歌の方が逞しいというか太ましいというか、エイミー よりストレートなロックに相性が良さそうな感じはする。けど、ゴシック系との相性や総合的な面ではエイミーには到底及ばないかも。と言っても、そりゃ”アメリカン~”のファイナリストになるほどの才能を持った逸材ですから、その歌唱力やフロントマンとしての存在感や話題性は申し分ないと思います。正直言うて、WATFの楽器隊が演奏する「メタリックなサウンド」×「エイミーの艶やかヴォイス」との組み合わせが本来の理想的な姿なんだろうけど・・・その夢はもう叶わない、と。あ~、もしエイミーが歌ってたらどんな感じに聴こえてたんだろ?って想像するだけでヨダレが出ちゃうなぁ・・・フヒヒ。まぁ、それが実現しないからこそ、音楽性や方向性の相違での「脱退」なんだろうね。
ピアノの音色やストリングス/オーケストラを使って壮大なスケールで描く、まさに教科書通りの「ゴシック系オルタナ・ロック/メタル」な1,2,6,8曲目、ミドルに腰を据えて聴かせる3,9曲目、ジックリと聴かせるバラードタイプの4,5,7,10、物語のクライマックス的な11曲目。トータルで見ても、なかなかバラエティに富んでいるし、基本的にどの曲も分かりやすくキャッチーに聴ける内容になってます。エバネの作品は(特に2nd)、聴いてると途中でダレるというかスリーピーzzzな感覚があったけど、このアルバムは意外とサクッと最後まで聴ける印象。ちゅーても、中盤に若干のダレが存在するのは否めないが。
1,2,6,8はサビで豪快に盛り上がる「シングル向け」な曲なんだけど、1の”Bury Me Alive”は、まんまEvanescenceなシングル曲で全体的にメランコリック&ハードなのが良い。2の”Burn”はギターが露骨にヘヴィかつメタリックで、Lacuna Coilの新譜やFireflight の2ndを想起させるフックに富んだキャッチーな曲。6の”Through Hell”は若干エスニックなギターと疾走感を出すパートが○。8の”Without You”は1曲目と同じくモロにEvanescenceな曲で、欧州ゴシックっぽいキーボードの使い方も○。ストリングス全開のバラード4曲目”Don't Leave Me Behind”も哀愁があって良い。ETHS 的なヌー・メタル寄りのGリフと絶対にMadder Mortem を参考にしているであろう独特な歌い方が好印象な9曲目”St. John”もヘヴィかつダークな曲で個人的に好きです。タイトル曲となる11曲目の”Tear The World Down”は、完全に欧州的なゴシック・メタルナンバーで、壮大なストリングスや荘厳なクワイアが壮絶な雰囲気とスケールのデカイ世界観を創り出し、1曲目から続いた物語の終焉を想像させます。この曲は映画のサントラとかに使えそう。というか、既に何かの映画に本作の曲を提供してるらしいです。
Evanescenceみたいに爆発的に売れるバンドではなさそうなんで、地に足をつけてジックリと活動して、ジワリと売っていく方向性になりそうですね。ジワリっつーわりには、このデビュー作はビルボードで33位と既に好発進しているわけだがwてか、これだけ素晴らしい内容かつジャケットも良いのに、国内盤の予定がない・・・だと・・・?兎に角、今後に期待できる新人バンド?の登場ですなっ!!ちゅー事で、前文に名前が出てるバンドが好きな人や、オランダのDELAIN 等の欧州ゴシック・メタルが好きな人は、今年の絶対的なマストとなる作品でしょう。他には、FLYLEAF やPARAMORE などのゴス系チックな大衆向けロックを好む人にもオススメできるんじゃないかなーって。今年のフィメールVo系では一番のアタリ、、、って言っても、今年はフィメール系のリリースが少ない?印象がするんで、比較しようにもできないっすね。うん?ヴァンプ?ヴァンプ?ReVamp がいる?・・・ああっ!!どうやら、エイミー御大率いる本家本元のEvanescenceも今年新作をリリースする予定らしいです。そちらも非常に楽しみっスなぁ・・・!!
7.5 / 10 点
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