UK産のメロディック・メタルコアバンドの4人組、Bullet For My Valentineの約3年振りの3作目「Fever」を紹介。
01. Your Betrayal ★★★★★
02. Fever ★★★★
03. The Last Fight ★★★★★
04. A Place Where You Belong ★★★★☆
05. Pleasure And Pain ★★★☆
06. Alone ★★★☆
07. Breaking Out Breaking Down ★★★☆
08. Bittersweet Memories ★★★★
09. Dignity ★★★★
10. Begging For Mercy ★★★☆
11. Pretty On The Outside ★★★★
いわゆる「新世代型メタル」の第一人者とされる、UKのウェールズ出身の4人組、Bullet For My Valentineの前作から約3年振りとなる3作目「Fever」なんだけど、本作のプロデューサーには、Linkin Park やLACUNA COIL などを手掛けた事で知られるドン・ギルモアを迎えた作品で、一通り聴いてみての大まかな印象としては、彼らBFMVが目指す「メインストリームなアリーナロック」というスタイルをより一層推し進め、ギターの音自体はしっかりとしたヘヴィな「重さ」が感じられるが、全体的にメタリックな質感の強かった前作の「Scream Aim Fire」と比較すると、本作の音は大衆受けしそうな「ロック」な音質に様変わりし、非常に耳触りの良い聴きやすい音作りがなされています。楽器隊が1番の聴き所だった2ndとは違い、今回はVoマシューの分かりやすいボーカル・メロディを中心に聴かせる印象。その辺からも「大衆受け」を狙った変化が感じられます。
さて、問題の曲についてだけど、こちらの印象としては前作の2ndの流れを確かに踏襲しつつも、1stの頃のエモ/スクリーモ寄りの雰囲気が僅かながら戻っているというか、BFMV本来のあるべき姿というか、曲をなんとな~く聴いただけで「あっ、BFMVだな」って思えるような、実に「BFMVらしい」楽曲を聴かせ、そして3作目の新しい風=「大衆向けロック」なスタイルに大きく足を踏み入れたサウンドを展開してます。が、やはりプロデューサーの影響がない訳ではないので、言っても1stの頃のUK的なエモ/スクリーモっぽさは非常に薄いし(本作はUS的なエモ系)、メロディの質はそれなりに高いとは思うけど「ドン・ギルモアを起用したわりには」メロディに特別フックがあるってわけでもないので、聴く人によっちゃ「凡個性」と感じてしまうかも・・・!!!!要はアメリカンナイズされているっちゅー事。しかし、それをポジティブに考えれば、大衆向け大物バンドと仕事をしているドンを起用した事により、その部分も「大衆向け」を推し進めるBFMV的な利点に繋がっているんじゃないかなーって。噂によると、どうやら本作はドン・ギルモアではなくてボブ・ロックと仕事をする可能性もあったらしいので、本作を聴いた後に「ボブロックをプロデューサーに迎えていたらどんな作品になってたんだろうなぁ」って、申し訳なくも思ってしまうのも事実。
1の「Your Betrayal」は、これまでのBFMVとは一味違った曲でなかなかカッコイイ。タイトル曲の2の「Fever」は、イントロこそメタル調だが、全体的には適度にメタリックなハード・「ロック」という印象が強いメロディックなナンバーで、1曲目に続き、これまた新しいBFMVが垣間見れる。3の「The Last Fight」は、イントロのスラッシーなリフから2ndの流れを感じさせ、Voマシューの歌メロに関しても2ndの雰囲気を踏襲しててなかなかカッコイイ。この曲のGソロからはUSのA7Xっぽさを想起させる。4の「A Place Where You Belong」は、王道中の王道バラード曲。とりあえず、ここまでの4曲で序盤の流れができてる。続いて5の「Pleasure And Pain」は、イントロのリフが3曲目と被ってるのが若干気になるし、マシューの歌メロもエモ寄りだが、特別フックに富んでいるわけじゃないので、1~4曲目と比べると少しだけ質が落ちる。イントロから壮大なkeyが耳を引く6の「Alone」も、リフが過去の曲と被っているような気がするというか、どっかで聴いた事あるような感じがして、個人的には新鮮味を感じられなかった。7の「Breaking Out Breaking Down」も、ヘヴィなハード・「ロック」な曲だけど小粒な印象。8の「Bittersweet Memories」は、Linkinがやりそうなバラード調の曲。9の「Dignity」は、サビがまぁまぁ好きかも。10の「Begging For Mercy」も、どっかで聴いたようなリフがあって残念。けどインスト部分は良い。ラストの11は本作で1番アグレッシブなメタルコア曲。
序盤の流れは十分に満足なんだけど、中盤から終盤にかけての曲はイマイチパンチの欠ける曲に聴こえてしまい、アルバムを通して聴くのはツライかも。メタリックでスラッシーなギター・リフは2ndからの流れが確実にあるんだけども、如何せんriffのバリエーションの少なさが目立ってるのがちょっと気になった。
という感じでまとめると、ベース担当のジェイソンがスクリームするアグレッシブなパートもキモチ少なくなってるけど、Voマシューのエモーショナルな分かりやすい歌声がメインな「新世代型メロディック・メタル」として聴けば、十分に質は高いアルバムだと思う。期待が高すぎなければ、それなりにオススメできる佳作っちゅー感じかなぁ。僕自身は、ネット上の好意的な評判を真に受けて、暗に期待を大きく膨らませていたせいか、本作を聴き終えた後に肩透かしとまではいかないけど、「まぁこんなもんか」みたいな、ナニして賢者タイムが発動してる「あの感じ」に近い妙な冷静さがあった。僕的には、1st>2nd>3rd、こんな感じですかね。あと、このジャケは・・・なんか地味じゃんじゃん。
7.0 / 10 点
Bullet For My Valentine
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