
北欧スウェーデン産のプログレッシブ・メロディック・デスメタルバンドの5人組、In Mourning の約2年振りの2作目「Monolith」を紹介。
01. For You To Know ★★★★★
02. Debris ★★★★★
03. The Poet And The Painter Of Souls ★★★★★
04. The Smoke ★★★★★
05. A Shade Of Plague ★★★★
06. With You Came Silence ★★★★☆
07. Pale Eye Revelation ★★★★
08. The Final Solution (Entering The Black Lodge) ★★★★★
てけとーさん的2008年度のホープに選んだ、スウェーデン出身のIn Mourningの約2年振りとなる待望の新作「Monolith」は、期待通り、いや、期待以上の作品を作り上げてきたと、自信を持って言える素晴らしい内容なんだ。トラヴィス・スミス氏が手掛けたジャケの中央に大きくそびえ立つ、映画「2001年宇宙の旅」で承知の通り、進化の象徴である「モノリス」をコンセプトに掲げ、自らのハードルを爆上げしているにも関わらず、その名に恥ないクオリティを出せるのはやはり流石というか、「本物」の証というか、メタル界のモノリス=In Mourningって事を、本作を聴いて確信することができました。
まず、In Mourningの音楽性を軽く説明すると、いわゆるOPETH スタイルを機軸としたプログレッシブ・メタルで、それ+メロデス+ドゥーム+ポスト・メタルの成分を加えたエクストリームなメタルをやっており、トリプルギターのスラッシーに鋭く刻むリズムをメインに、同郷のKatatonia 譲りの幽玄なメロディやメランコリカなメロディを同時展開して、プログレッシブかつアグレッシブに楽曲を構成していく様は、本作の「Monolith」で更なる進化を遂げ、最近の若手の中ではNo1の実力を証明する形となった。
一応断っておくけど、いわゆるOPETHスタイルというのは、=OPETHに似ているというわけでは決してないので、その辺はあしからず。このIn Mourningは、もちろんOPETHやKATATONIAやIn Flames等の同郷の大先輩からの影響はあるけど、他のバックグラウンドにはIsis 、Pelican 、Cult of Luna 等のポスト・メタル勢の現代的な音の影響が大いにあるので、70sプログレの影響が強いOPETHとは似ても似つかない音楽性をしているわけです。フィンランドのGhost Brigade といい、ポスト・メタル/ポスト・ロックという比較的現代的な音楽をバックグラウンドに持つバンドがこれからどんどん増えていってほしいなと、個人的には思ったりするんだ。その代表的なバンドとして、このIn MourningとGhost Brigadeは、本当の意味での「現代メタルの未来」と言えるんじゃないかなーって。In Mourningは間違いなく、OPETHの正統な後継者と呼べる唯一のバンドだろうね。と言っても、OPETHの凄みに達するにはまだまだ先が長そうだけどね。
今作の「Monolith」も前作の「Shrouded Divine」と同様に、Scar Symmetry のギタリストJonas Kjellgrenをプロデューサーに迎え、スウェーデンのThe Black Lodge Studioで制作されたアルバム。スタジオやプロデュースは1stと同じなのだが、前作を聴いてイマイチに感じたドラムの音質やらギターの音圧やらが改善(人によっちゃ改悪?)されており、とにかく全ての楽器隊の音圧が上がり、音の「アグレッシブさ」というものが一際耳を引くポイントになってる。だがしかーし、今回ギターの音圧を上げたことによって、前作のような低音の聴かせ方が非常に上手い、大げさに言うとTool にも通じる刻みの気持ちよさが大きく減退し、今作では完全にスラッシュ・メタルな刻みに変化しているんだ。個人的に、名作と呼べる今作の中で唯一のマイナスポイントというか、ドラムの音の改善は大賛成ではあるんだけど、低音が気持ちいいオルタナ的な刻みは保時しておいてほしかったなー、っつーのが僕の素直な感想なんだ。ドラムの音に関しても、音デカすぎてバランス悪くない?って一瞬思っちゃうほど音圧がすげー上がってるんだ。要は何が言いたいかというと、本作では「音のメタル化」が本格的に始まった、という事なんだ。個人的には前作のちょいとB級な音質も、妙な深みとよどみがあって地味に好きだったんだよなぁ~。けど、今回の「エピック」な音質も、本作の曲調やコンセプトとマッチしてるからなんら問題ないんだけどねー。という事で、次作、、、じゃなくてもいいけど、将来的には是非ともイェンス・ボグレンと一緒に仕事してもらって、そうすればこのバンドは更に大化けし、楽曲が更に洗礼されると、僕は睨んでるんだけどね。間違っても、Porcupine Tree のスティーヴン・ウィルソンとは仕事しちゃダメ。だってIn Mourningとスティーヴンの相性は間違いなく悪いと思うからさwいや、だけどそれはそれで聴いてみたいナニがあるなw・・・ってか、妄想しすぎw
本作は「アグレッシブ&プログレッシブ」がキーワードと言えそう。先ほど書き記した音圧を向上させたことにより、曲が激しくラウドに感じ、同時にボーカルのトビアスのグロウル/ハードコア・ボイスの迫力と攻撃性も更に増し、1曲目の初っ端に来るボーカル・パートや、5曲目のVoパートなどでは「新しい事への挑戦」が感じる事ができるんだ。この手のバンドは作品を重ねるにつれ、クリーン・パートの割合を増やすパターンが多いイメージだけど、今回クリーン・ボーカルが聴けるのは1曲目と4曲目の2曲だけ。1曲目ではIn Flamesの影響を上手く吸収しててスゴイ。4曲目のアトモスフィアーなクリーン・パートはポスト・メタル的で、バンドのバックグラウンドが表れている。
さて、もう一つのキーワード「プログレッシブ」についてなんだけど、前作は全8曲入りでトータルタイムが46分だったのに対して、本作は同じく8曲入りでトータル57分という長尺になり、つまりは1曲1曲の長さが増しており、8曲目の「The Final Solution (Entering The Black Lodge)」では約12分という、In Mourning初となる10分越えの長尺にも挑戦しているんだ。・・・・・なんか曲が長い=プログレッシブみたいに書いてるけど、問題なく、今回はちゃんと曲がプログレッシブしてます。曲の構成や展開についてもイイ感じに洗礼されているというか、確実に進化したと感じさせてくれます。1曲目の「For You To Know」はプログレッシブかつ超エピックなナンバーでクソカッコイイ。2曲目の「Debris」も、OPETHや最近のPorcupine Tree と同じ弾き方で若干エスニックなメロディを作るイントロだったり、OPETHなアコギのパート~アトモスフィアーな流れとか神がかってて、僕を「ニヤリ」とさせてくれる。大作の12では、メロトロン?的な音を使って、ここでも「新しい事」に挑戦してる。曲は暗黒世界&エピック&ドラマティックで、目まぐるしい展開が素晴らしく、スケール感もデカイ。この曲には今のIn Mourningの全てが詰まっている、そんな曲。NEXT In Mourningみたいな感じ。
とにかく1~4までの流れが圧巻。プログレッシブな1,2,4、Amesoeurs の「Heurt」バリにブラストを使ってメランコリーに爆走する3曲目のメロデスナンバーもツボ過ぎる。メロデス寄りの5~7の曲はちょいと単調というか、1~4の曲と比べると若干質が落ちるけど、ラストの大作でまた息を吹き返す、という流れ。
あとはやっぱり、楽器隊の申し分ないウマさが本作でも分かる。ドラムも上手いしギター&ベースも言うことなしです。特にドラムが上手いね。
しかし、まだまだ「自分たちが目指すもの」を必死に模索している様子があるので、このままバンドが順調に活動を続ければ、次次作くらいに本格的に大化けすると、僕は予想するんだ。それにしても、1作目から2作目までの成長の歩幅が広すぎてホンマに驚いた。このバンドは、ガチです。。。つーか、こんなに次が楽しみなバンドはそうも居ないね。次作でもっと化けてくることに期待したい、というか、絶対期待に答えてくれるという素質を持ってるから、別に心配要らないかなー。レーティングは9.0点付けたかったんだけど、僕は今後の大化けに期待してるんで、若干落として8.5にしときました。ということで、本作はガチでオススメです。勿論、2010年度のベスト候補!!!!
8.5 / 10 点
In Mourning
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