北欧フィンランド産のプログレッシブ/アトモスフェリック・スラッジ・メタルバンドの5人組、Ghost Brigade の約2年振りの2作目「Isolation Songs」を紹介。
1. Suffocated ★★★★★
2. My Heart Is a Tomb ★★★★★
3. Into the Black Light ★★★★★
4. Lost in a Loop ★★★★
5. 22:22 Nihil ★★★★★
6. Architect of New Beginnings ★★★★☆
7. Birth ★★★★
8. Concealed Revulsions ★★★★
9. Secrets of the Earth ★★★★
10. A Storm Inside ★★★★☆
北欧フィンランド産のプログレッシブ/アトモスフェリック・スラッジ・メタルバンド、Ghost Brigadeの約2年振りの2作目なんだけど、2007年リリースの1st「Guided by Fire」は良質なアルバムだったけども、どこか「地味系メタル」な感じが否めず個人的にもピンと来ない印象だったが、この2ndアルバムで化けてきた。前作からすでにポスト・ロックの要素を上手いこと吸収した個性的なサウンドで質は高かったんだけど、本作では更にIsis やNeurosis 等の影響が伺えるポスト・ロック/メタルの成分をより一層強く強調し、寂しく憂鬱なクリーン・ヴォーカルの増加やギターのメランコリカルかつデプレッシブなメロディも大幅に増量し、結果的にOPETH やIn Mourning 、KATATONIA やParadise Lost 、同郷のアトモスフェリック・スラッジ・メタラーのCallisto を彷彿とさせるメジャー寄りのプログレッシブなダーク・メタルを完成させてきた。まぁ、OPETHやKATATONIA、Paradise Lostほどメジャーなサウンドではないけど、スウェーデン産のIn Mourningと同じくこの手のジャンルの期待の若手として、他のバンド達とは一味違った、只者じゃない光る部分やセンスを感じさせるバンドになったと言えるかな?その証拠になるかは分かんないけど、本作が本国のチャートで22位を獲得したり、Paradise Lostのヨーロッパツアーのオープニングアクトへの抜擢、つまりは名の知れたダーク・メタル・バンドにも認められたという事ってのが非常に大きな「証明」という形となってるんじゃないかなーって。(ちなみにそのツアーにはKatatoniaもサポートとして同行)
静かで寂しいポスト・ロックなパートとドゥーム/スラッジなハードでアトモスフェリックなパートとで「静」と「激」のメリハリをつけながらプログレッシブに展開し、クリーンヴォーカルとハード・コア成分を含んだグロウルの使い分けも楽曲に取っ付きやすさやバラエティさを出し、前作以上に個性を持ったダークなサウンドを生み出している。全体的にメロディが分かりやすくなった印象。本作を聴いて思ったのが、この手の「ダーク/メタル」と「ポスト・ロック/メタル」の架け橋的存在となっているISISの立ち位置ってすげー存在感があるしすげー偉大なバンドだなぁって思った。これからはこの手のジャンルが流行りそうな予感!?というか希望。しかしながら・・・まだ無名に近いこのバンドがチャート22位取っちゃうなんて・・・恐るべしスオミの国・・・。良いアルバムは売れる・・・素晴らしいことです。
まず1の「Suffocated」から凄い。寂しくメランコリーなイントロから始まり、刻みギターをベースにしたダーク/プログレッシブなGリフとOPETHな世界観を彷彿とさせれるアトモスフェリックなkeyの暗黒的世界とヴォーカルのハードコア・スタイルのグロウルで荘厳さを匂わせながら進み、そしてメランコリカルなギターのメロディが炸裂するサビのパートへ繋がる文句ナシのキラーチューン。2の「My Heart Is a Tomb」は、ポスト・ロックなサウンドとクリーンヴォーカルで寂しく静かに進むパートとグロウル&ハードなメタル・パートでメリハリをつけながら展開し、憂鬱なクリーンヴォーカルがヤバイ過ぎるサビとバッキングのギターが完璧なキラーナンバー。全編クリーンヴォーカルで歌う3の「Into the Black Light」は、ポスト・ロックをベースに大人しく進み、ダイナミックなサウンドとメランコリックでキャッチーなヴォーカルがKatatoniaの中期の頃を思わせる超メランコリーかつドラマティックなキラーチューン。正直ここまでの3曲だけで逝けるレベル。Ghost Brigadeが本作で「化けた」と証明できる頭3曲がまず凄いの一言なんだ。4の「Lost in a Loop」は、前作の雰囲気を感じさせるドゥーミーなナンバーで、重くドゥーミーなサウンドの中に絶望的な暗いメロディを入れたり、荘厳なヴァイオリンを聴かせるポスト・ロックな「静」のパートを中盤に置いたりと緊張感を持った曲。5の「22:22 Nihil」は、寂しいポスト・ロックなパートとダイナミックかつメランコリーなパートで「静」と「動」のメリハリをつけて展開する全てに渡って憂鬱なインストナンバー。5曲目と一転して騒々しくスラッジーに始まる6の「Architect of New Beginnings」は、1曲目のサビのメランコリックなメロのフィーリングを感じさせるギターの憂鬱でいて華麗なメロディがヤバ過ぎる名曲。7の「Birth」は、約9分ある大作ナンバーで、スラッジーで騒々しいダークなパートをメインに、ピアノの哀しい音色と静かなポスト・ロック・パートを間に挟みドラマティックに進み、寂しくメランコリックなサビのゆったりしたギターへ繋がっていく。8の「Concealed Revulsions」も、「静」と「激」のメリハリをつけて展開する曲で、クリーンヴォーカルをメインに歌う憂鬱なメランコリーナンバー。Paradise LostやLacuna Coil 的なイントロと列車のSEで始まる9の「Secrets of the Earth」は、クリーンヴォーカルとIsisっぽい音で進み、叙情的かつドラマティックなギターのメロディとVoのグロウル歌うダナミックなサビへと繋がる曲。ラストを飾る10の「A Storm Inside」は、ポスト・ロックな寂しく冷たいサウンドとメランコリーなクリーンヴォーカルで大人しくゆったり展開するパートがメインな曲。
捨て曲が無いのは言うまでもないし、とにかく全曲メランコリーだし、5曲目にはインストゥルメンタル、7曲目では約9分の長尺に挑戦している所からして確実な「進化」を感じさせてくれるんだ。流れとしては1~6まで神がかってる。7.8.9曲目の粘り所も佳曲揃いで素晴らしい。基本的にどの曲も「静」と「激」、「強」と「弱」の「メリハリ」を意識した曲作りなんで、次作ではその大雑把な「メリハリ」を程よく残しながら、分かりやすい「メリハリ」ではなくて自然な流れの形で表現した新しいスタイルで作った曲を聴いてみたい気もする。要はさらなる進化/変化を見込める希望を持ったバンドという事ですね。前文に名を出したバンド以外にも、ゴシックやメロデスやダーク・メタル好きにも十分イケるサウンドしてるんで、Dark Lunacy やDark the Suns 、Dark Tranquillity やInsomnium 等のゴシック/メロデスが好きな人にも本作を強くオススメしたい。本作はジャケも良いし、何も言う事ナシです。
結論を言っちゃうと「傑作」に値する内容で、「化けた」というか、確実に一皮向けた/垢抜けた感が強いですね。今年のフィンランドのバンドの作品ではAmorphis の「Skyforger」と同等、いや、人によっちゃあAmorphisを越えた作品かもしれないほど凄まじいアルバムです。Amorphisが「明」るいメランコリーなサウンドなら、このGhost Brigadeは「暗」のメランコリーを体現したバンドと呼びたいなぁ。ちゅーか、このバンドはフィンランドのバンドっぽくない所がまた良いんだよねー^^OPETHやKatatoniaやParadise Lostがベテランの域に達した今現在、このような若手の出現はひっじょーに喜ばしいことですね(・∀・)いやーそれにしても、思わぬ伏兵の登場で、この手のジャンル好きな僕としてはマジに大歓喜ですわヽ(゚◇゚ )ノ
8.5 / 10
Season of Mist (2009-08-25)
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