Welcome To My ”俺の感性”

音楽のレビューというか感想をてけとーに書き殴るブログです。

Gojira 『Fortitude』

Artist Gojira
Gojira-2021

Album 『Fortitude』
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Tracklist
04. Hold On!
05. New Found
06. Fortitude
08. Sphinx
09. Into The Storm
10. The Trails
11. Grind

この時代にシングルを5枚も出すほどの「今最も景気の良いメタルバンド」であり、Deftones主催のフェスではローレン・メイベリー率いるチャーチズと共演し、そしてディズニー映画『アナと雪の少女』の主題歌でも知られるノルウェーの歌姫AURORAからも支持されている、言うなれば「世界一モテるメタルバンド」が今現在のGojiraだ。

1stシングル「Another World」

度重なるアップデートによってクソゲーから神ゲーへと進化したゲーこと『No Man’s Sky』を想起させる、そのゲーム風のアバターと化したゴジラメンバーが宇宙へと旅立つフランスらしいアニメ仕立てのSFチックなMVからして(ラストは映画『猿の惑星』オマージュ)、小島秀夫監督の『デス・ストランディング』や『サイバーパンク2077』からも垣間見れるように、昨今のトレンドの一つと言っても過言じゃないゲーム音楽界隈とヘヴィ・ミュージック界隈のコラボレーションを的確にオマージュしつつ、そのサウンドもフランスメタル界のレジェンド=Gojiraがフランスのプログレ界を代表するレジェンド=Magmaをエクストリーム・メタルの解釈で再構築したような前作の6thアルバム『Magma』の流れを素直に踏襲した、あのTOOLに肉薄する“ポスト・キザミ”を駆使した要は「ポスト・スラッシュの行き着く先」、その最終地点であるかのようなエクストリーム・プログレを展開する(Spotifyだとこの曲だけ音量デカい説)。

2ndシングル「Born For One Thing」

Gojiraほど近年のメタルシーンに影響を与えたバンドは他にいないんじゃないかって。中でも、彼らの最高傑作と名高い2008年作の『The Way Of All Flesh』と2005年作の『From Mars To Sirius』が後のメタルシーンに与えた影響力というのは凄まじいものがある。例として挙げると、10年代メタルシーンのトレンドの一つだったDjentを代表するTesseracTや20年代の新世代メタルを象徴するVein、彼らは00年代最高のメタルソングの一つと称されるGojira屈指の名曲であり、X JAPANの“Art Of Life”と双璧をなすクラシック狂想曲こと“The art of dying”のカバー曲レベルのリスペクトソングを書いている。また、彼らの影響力の高まりがピークに達した事を決定づける出来事といえば、いわゆる「メジャーなメタル」を代表するBring Me the Horizonがメインストリームのポップスやってのけたアルバム『amo』には、前作『Magma』に収録された“The Cell”のメシュゴジラ化を象徴するリフ/ヘヴィネスを引用したと思われる楽曲が見受けられた。本作『Fortitude』の幕開けを飾るこの2ndシングルは、“メタル総選挙ランキング同率1位”でお馴染みのMeshuggahとの同化政策や、レーベルメイトのコード・オレンジに代表される現代モダン・ヘヴィネス勢との相互関係をはじめ、そして何よりフロントマンであり世界一かっこいい「GOッ!!」を叫ぶ男ことジョセフ・デュプランティエによる合言葉から、彼らのシンボルでありアイデンティティでもあるキュルキュルしたクジラの鳴き声リフを交えたDjent〜メシュガーラインの変拍子が大海原に轟く後半のブレイクダウンパートは、もはやVeinに影響し返されたんじゃねぇかと思うほど、つまり影響を与える側が逆にフォロワーから影響を受ける一種の“回答ソング”と解釈できなくもない(#5“New Found”の冒頭は女DjentのDestiny Potatoのオマージュっぽく聴こえるのも面白い)。とにかく、00年代以降の全メタルバンドに影響を与えていると言っても過言じゃあない「メタルの基本」、その中心点がGojiraだった事は歴史的事実なのである。

3rdシングル「Amazonia」

本作について、バンドは(ジョー・デュプランティエの古巣でもある)カヴァレラ兄弟擁するブラジリアン・メタル界のレジェンド=Cavalera Conspiracyをリスペクトしていると語るように、そもそも「アマゾニア」というタイトルからも2秒で察しがつくように、その楽曲も南米アマゾンの未開の地に生息する未接触部族的なトライバリズム溢れる世界観を構築しており、これは前作のオルタナティブな側面その広義の解釈が進んだ結果と言えるのかもしれない。そのサウンド・アプローチもヌー・メタルやオルタナ・メタルならではの独特のグルーヴとウネりが特徴的。しかし、本作における仏教的というか木魚みたいなポンポンシー♪なパーカッションなどの俄然トライバリックな要素って、別に本作が初出というわけでもないし、それこそバンド屈指の名曲“The art of dying”もトライバルなイントロから始まるという点では、ある意味で“全ての始まりであり原点”がそこにあるのかもしれない。

4thシングル「Into The Storm」
4thシングルは、彼らがメシュゴジラ化を象徴する前作の“The Cell”と5thアルバム『L'Enfant Sauvage』が融合したような曲。なんだろう、ここまで来ると前作までには少なからず存在していた革新性というのは皆無となり、特にソングライティングの面で前作のイメージを引きずり過ぎているキライが目立つ印象。それは、この作品特有のオリジナリティの欠如を意味し、既に確立された音楽性から脱却することは偉大なる彼らをもってしても不可能であることをマザマザと見せつけられた気分だった。リフ不足をはじめ、フレーズ不足、ポスト・キザミ不足、あらゆる面で引き出しの少なさが露呈してしまっている。あと何よりもサウンド・プロダクションがTriviumの某アルバムみたいにモコモコした、要するに自分の嫌いな「音が死んでる」メタルの音質で(ドラムの音は特にドイヒー)、そういった意味でも過去最悪に推せないアルバムです(これぞアンディ・ウォレスクオリティw)。

5thシングル「The Chant」

トライバリズム溢れる本作を象徴するチベット密教系ナンバーである表題曲の“Fortitude”との組曲であり、これまた前作から“The Shooting Star”のセルフカバー曲かな?と勘違いしそうな5thシングルでは、BaronessTrue WidowなどのUSストーナー/スロウコア的なポスト・ヘヴィネスと雄大なチベット高原にこだまするコーラスワークは、世界中の少数民族を鼓舞するかの如し。しかし、本作はCavalera Conspiracyからインスパイアされたと言うわりには、いかんせん肝心のアマゾニア成分が著しく乏しい気がするというか、どうせならもっと思い切って大胆にアプローチすべきだったと思う。なんかどれも中途半端になっちゃってるというか、それこそトライバルとヘヴィ・ミュージックの代表的なのといえばTOOLだけど、そのTOOLとは天と地の差を感じるし、それっぽい実験的な側面を含んでいた前作とそこまで印象は変わらないというか、まだ前作のが創造性豊かにミックスできていた気もする。本作は「変化」という点でも過去最高に乏しく、皮肉っぽい事を言えばメンバーの服装がH&Mばりにカジュアルになったら「音」もソリッド感ゼロのカジュアルになり、そこで初めて僕らはH&MがHEAVY METALの略称じゃなかった事を知るのであった(←当たり前だ)。

なんだろう、そろそろGojiraを持ち上げてツウぶれる時代は10年代で終わりを告げた事を意味するような一枚。少なからず、前作まではまだメタルシーンに影響力のある擁護可能な作品だったけど、本作に至っては後世に与える革新性および影響力というのは皆無、それこそ新世代メタルバンドもフォローしようとは到底思えないような、確かに一聴するとフォロワー回答アルバムに聴こえなくもないけど、実は単なるフォロワーに降参アルバムになっちゃってる。例えば、今のゴジラができるスーパーキュルキュルアタックもといエクストリーム・メタルの持ちうる全てを凝縮した、アルバムの最後を飾る“Grind”では、新世代ロードランナーメタルの後輩コード・オレンジに年季の違いを見せつけようとしたら、逆に返り討ちにされちゃった感じ(まるで気分は伝説の白鯨vs.顔面炎上サイコ野郎)。なんだろう、そのコード・オレンジVeinらの新世代メタルと現役トップメタルバンドであるGojiraがそれぞれ相互作用の働いた曲同士でタイマンを張るも、見るも無残にもゴジラ側が引導を渡されていく姿はあまりに悲しすぎる。

これまでの彼ららしいインテリジェンスのカケラもない「駄作」と呼ばれてもしょうがない一枚。確かに、近年のメタルシーンに多大なる影響と功績を残した偉大なバンドの新作に対して「駄作」と言っちゃいけない雰囲気ってどうしてもあるけど、でもそこは勇気を持って「これは駄作」と言ってあげた方がGojiraのためだと思う。皮肉だけど、ちょっと売れて調子に乗ると駄作が出来上がる、露出すればするほどつまらなくなる典型みたいな構図はメタルの王道っちゃ王道で、その歴代メタル王が繰り返してきた「メタルあるある」の伝統芸能を現代メタルの頂点に君臨するゴジラがしっかりと受け継いでいるのは、なんだろう歴史は繰り返す感しかなくて逆に微笑ましくなる。いかにもそろそろ駄作出してきそうな雰囲気の中で、満を辞してその期待に全身全霊で答えるかのような駄作を出してくるあたり、それすなわち紛れもなくGojiraが時代のトップに君臨していた事を裏付ける決定的な証拠となっている。駄作は駄作だけど「愛すべき駄作」と呼ぶべきかもしれない。

そして改めて思ったのは、「これが噂のロードランナータイマーか・・・」ということ。何を隠そう、10年代に入るとスリップノットと同じ“ロードランナーバンド”となって久しいゴジラだが、そのRRからリリースした1発目の5thアルバム『L'Enfant Sauvage』からUSメタルコア的なモダンさと独自のポストスラッシュ〜プログレ路線に著しく傾倒し始め、前作の6thアルバム『Magma』でワンクッション置いてから、RRデビュー3作目となる本作『Fortitude』で遂にソニータイマーならぬ“ロードランナータイマー”が発動し、過去イチで「メジャーなメタル(=メインストリーム・メタル?)」に品種改良されて大衆向けに聴きやすくした結果の駄作なんですね。確かに、メタリカをはじめとする80年代の著名なメタルバンド以外に、00年代以降のメタルシーンを背負って立つ現役バリバリのバンドでこの立ち位置を任されるのって彼らの他にいないのも事実、つまり替えのきかない存在であると考えた時に、あくまで本作は「メジャーなメタル」への登竜門、その通過儀礼に過ぎず、この結果はむしろ必然的というか、逆にニッチなメタルをメインストリームに届けてくれている事に感謝すべきと共に、最大限にリスペクトすべきだとは思う。しかし、それ(立場)とこれ(作品)の内容が比例しないのがこの話の難しいところ。だから本作は今年のワーストメタルアルバムに違いないし、レジェンド級のモンスターバンドが一度この手の露骨な駄作を出すと2度と復活の見込みがないのも定説だけに、個人的に今作に対するショックは計り知れないものがある。

過去最多にシングルカットされた曲のMVに関しても、アマゾンの熱帯雨林破壊(あるいは森林火災)とか、インド・チベット問題(反中思想)とか、いかにも彼ら(フランス人)らしいリベラリズムを垣間見る事ができて大変素晴らしいと思うのだけど、しかし残念ながらそのイメージが先行し過ぎて曲の内容が追いついていない印象。今回のMVのコンセプトから察するに、そういった思想的な部分で(ローレン・メイベリーやAURORA、そしてアンソニー・ファンタノなどのリベラル界隈)から支持されている面も多少なりともあるのかもしれない。昨今の世界情勢における人権問題や環境問題などの点で、ゴジラの根っこにあるグリーンピース精神もといインテリ思想とポスト・コロナの世界がカチッとフィットした感じ。本作は、それらの出来事や以前までの世界とは異なる=“Another World”に対するゴジラなりの“祈り”と“慈悲”を乞うかのような作品であることを重々承知した上での厳しい評価と思ってもらいたい。

Cannibal Corpse 『Violence Unimagined』

Artist Cannibal Corpse
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Album 『Violence Unimagined』
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Tracklist
01. Murderous Rampage
02. Necrogenic Resurrection
04. Condemnation Contagion
05. Surround, Kill, Devour
06. Ritual Annihilation
07. Follow The Blood
08. Bound And Burned
09. Slowly Sawn
10. Overtorture
11. Cerements Of The Flayed

10年代を締め括る最後の年に“アヌンナキ系デスメタル”のBlood Incantationとカナダの“サイバーパンク系デスメタル”のTomb Moldが“10年代最高のデスメタル”と呼ぶに相応しい作品を発表すれば、その10年代の流れは20年代に入っても止まることを知らず、まずこの日本からは“デスメタル女子”の女優広瀬すずを皮切りに、そして2021年早々にイタリアからAd Nauseamという“20年代最高のデスメタル”が登場するなど、それら各Decadeを象徴する新世代デスメタルが続々と存在感を示し始めたプチデスメタルブームの最中、それら新世代デスメタルにも多大な影響を与えた90年代デスメタル界のレジェンド=カニコーことカンニバル・コープスがラスボスとして立ちはだかる神展開。いや、その光景はまさに血みどろの地獄絵図。グロ過ぎて子供には見せられないよ!的な放送禁止の猟奇的殺戮シーン。

前作から約4年ぶり、通算15作目となる本作の『Violence Unimagined』は冒頭の#1“Murderous Rampage”を筆頭に、(カニコーならではのブルータリズムは元より)ジャーマン・スラッシュのKreatorみたいなスラッシュイズムを感じさる、ザックザクに切り刻むタイトでソリッドなキザミとフォロワーであるTomb Mold的なイマドキのデスメタルらしい“ヘヴィさ”、それらの緩急を織り交ぜた展開と複雑に絡み合うリフに次ぐリフの波状攻撃、言うなればデスメタル界のオリジネーターが表現するデスメタルを超えた先にある“ヘヴィ・メタル”は、デスメタル云々以前にシンプルにメタルとして完成度の高さを誇っている。なんだろう、デスメタルなのに、あのスプラッター芸人のカニコーなのに音がめちゃくちゃ綺麗という矛盾を述べたくなるくらいには、本作はメタルの醍醐味の一つである音作りの気持ちよさとヘヴィネスの気持ちよさが極まりまくっている。

新世代デスメタルバンドに年季の違いを見せつけるような、カニコー史に刻まれる「もう一つの傑作」として称すべき、その最たる要因として挙げられるのは、古くは2006年作の10thアルバム『Kill』からカニコーとは誼みに、前作の14thアルバム『Red Before Black』でもエンジニアとしては元より、プロデューサーとしても深く関わっていた元Morbid Angelのエリック・ルータンが、2018年にやらかし逮捕されて脱退した前任ギタリストでありメインコンポーザーのパット・オブライエンの代わりに、晴れて正式メンバーとして加入した影響によるものだと推測できる。そういった意味では、謎にモタへ化してた前作よりかは『Kill』に近からず遠からずな往年のデスメタルに回帰している印象。しかし、この手のバンドって、いかにもやらかしそうでやらかさない、と見せかけてやっぱりやらかして置き土産に体を張ってバンドに箔をつけていくスタイルisデスメタル。つまり【もびえん×かにこー=歴代最高のデスメタル】って事です。

The Armed 『ULTRAPOP』

Artist The Armed
TheArmed

Album 『ULTRAPOP』
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Tracklist
01. Ultrapop
03. Masunaga Vapors
04. A Life So Wonderful
06. Big Shell
08. Faith In Medication
09. Where Man Knows Want
10. Real Folk Blues
11. Bad Selection
12. The Music Becomes A Skull

『サイバーパンク2077』といえば、人類がトランスヒューマニズム化した近未来都市=ナイトシティを舞台とした、悪い意味で話題を呼んだ無数のバグ(リッチ)すらも演出の一部だったんじゃねぇかぐらいの、自分も発売当初に買って早々にクリアしたほどの神ゲーで、とあるサブストーリーではブラックメタルに関する話がテキストで出てくる場面があったりと、今思えば「サイバーパンク2077はメタル」と言っても過言ではないメタルと相性抜群のゲームだった。

この『サイバーパンク2077』は、音楽の面でもその近未来的な世界観を形成する上で欠かせない要素の一つとなっており、有名どころではRun The JewelsSophieを筆頭に、そしてイーロン・マスクのパートナーであるグライムスが当然のように参加してるのも示唆的過ぎて笑ってしまうのだけど、中でもSF映画の金字塔である『ブレードランナー』の必然的なオマージュとしての日本文化リスペクトらしく、日本の芸術家アイドルユニットことナマコプリ(イメージ的にはCY8ERみたいな地下ドル)をゲーム内に登場する3人組アイドルユニット“アスクっクス”としてキャラ設定したり(いわゆるa.k.a)、そしてヘヴィ・ミュージック界からはConvergeTomb Moldなどのハードコアやデスメタルがサントラに参加しており、このように作中に登場する奇想天外な音楽は、この非現実的な近未来都市を描く上で切っても切れない関係性を担っている(個人的にサントラでは某ラタタタが好き)。ちなみに、このゲームの最重要人物であるキアヌ・リーブス演じるジョニー・シルヴァーハントがフロントマンを務める伝説のロックバンド=サムライは、スウェーデンのハードコア・レジェンドで知られるRefusedをフィーチャーしたコラボ曲を発表しており、そしてその曲のマスタリングを手がけたのはCult Of Lunaのマグヌス・リンドバーグという見事な伏線回収案件。

何を隠そう、ゲームの豪華サントラ陣の一組として参加しているのが、ミシガン州はデトロイト出身の奇天烈ハードコアバンド=The Armed(a.k.a )で、そんな彼らの4thアルバム『ULTRAPOP』を聴いて改めて思ったのは、端的に言うとゲーム音楽界隈がカタギ?のアーティストに与える影響力についてだった。つい最近では『サイバーパンク2077』にキアヌと同じく“サイバー人間”あるいは“デジタル・ヒューマン”としてカメオ出演した事でも知られる、ゲーム界のレジェンド=小島秀夫監督の最新ゲーム『デス・ストランディング』への楽曲提供や、ベセスダゲーこと『DOOM』シリーズの“ゲーム音楽”を手がけるミック・ゴードンをサウンド・プロデューサーとして迎え「BMTHなりのサイバーパンク」をやってのけたオレンジアルバムこと『Post Human: Survival Horror』へのカウンターパンチをお見舞いするかのような、もはや『サイバーパンク2077』のサントラに参加するために生まれてきたんじゃねぇかぐらいのリアルサイバーパンクが本作の『ULTRAPOP』なんですね。ちなみに、『サイバーパンク2077』のサントラに収録されているLe Destroyの“Kill Kill”と、BMTH『Post Human』に収録された“Parasite Eve”は同じ世界線にあると思う。


The Armedのプロデューサーであるカート・バロウ率いるConverge直系のハードコア・パンク然とした初期のカオティックな方向性から一転して、本作ではノイズやアートパンク方面に活路を見出し始めた前作『Only Love』の延長線上にありながらも、MelvinsHelms Aleeなどのノイズロック界隈は元より、ポスト・ハードコア、マスコア、ハードコア・パンク、トリップ・ホップ/インダストリアル、メタルコア、サイバー・グラインド、グリッチ、ポスト・メタル、アヴァンギャルド、ポスト・パンクなど、それこそ『サイバーパンク2077』のラップからデスメタルまでなんでもござれな闇鍋サントラに参加しているだけあって、その内容もゲームの世界観と共鳴するように脳内にマイクロチップを埋め込んで知能指数がカンストしちゃったリアルサイバーパンク野郎の領域に片足突っ込んでて、まるでConverge『サイバーパンク2077』のフューチャリスティックな世界に入り込んでパリピにヒャッハー!したような、それこそ本作のタイトルが示すようにハードコア云々以前に「ウルトラポップ」なサイバージャパンクもといサイバーパンクを展開している。ある意味で『サイバーパンク2077』のサントラのスピンオフ企画みたいな、そのサントラに提供した楽曲(Night City Aliens)の世界観を軸に展開される、ハードコアやパンクやポップスなど様々なジャンルを飲み込んだ唯一無二の「ウルトラソウル!ハーイ!」ならぬ「ウルトラポップ!ハーイ!」の世界が堪能できる。


なんだろう、この少しというかかなりイッチャッテル、その超越しちゃってる系すなわちTranscendence系のカオティック・ハードコアという意味では、USのLiturgyMachine Girlなどのエクスペリメンタリズム全開のデジタル・ハードコア勢の亜種として認識すべきかもしれない。しかしその一方で、カート・バロウ(=Converge)案件という意味でも新世代ボストン・ハードコアのVeinコード・オレンジを連想させる異端児感もある。とにかく、音楽的なハードコア/パンクよりも俄然ゲーム音楽的なサイバーパンクに傾倒しているというか、そういった意味でも改めてゲーム音楽界隈の侮れない影響力の強さを痛感させる。ハードコアなのにある種のポップパンク的なノリで聴けちゃう身軽なキャッチーさ、一周回ってオシャンティな雰囲気すら漂わせているアートパンクみたいな。

「ただのハードコア」とは一線を画した彼らのパンク魂やエクスペリメンタリズムを司るものこそ、Julie Christmasを彷彿とさせる女ボーカルのシャウトにあると言っても過言じゃなくて、しかも本作にはUKマスコアのRolo Tomassiのエヴァ・スペンスと、知る人ぞ知るTrue Widowのベーシストであるニコールがパフォーマーとして参加してるとか・・・もはやピンポイントで俺狙いなんじゃねかと勘違いするくらいの人選は完全に勝確案件。いや冗談じゃなしに、Rolo Tomassiといえば近作でブラゲ文脈とも繋がりを持ち始めたバンドで、何を隠そうThe Armedは本作の『ULTRAPOP』Helms Aleeも在籍するSargent Houseからデビューを果たしたことで、DeafheavenをはじめAltar of Plaguesなどのポストメタル/ブラゲ文脈と直通した感あって、それにより前作から芽生え始めたアートパンク気質がより高まったのも事実。そう考えると、本作はUKハードコア〜USブラゲラインとゴリゴリに繋がってる、ちょっととんでもないアルバムというか、つまり全てにおいてピッチフォークで高得点を叩き出しそうなオルタナティブなハードコアなんですね。


冒頭からアメイジング・グレイスばりの祈りがこだまする神聖な世界が徐々にバグり始め、近未来感溢れるインダストリアル〜ノイズ全開のサイバージャパンク化する表題曲の#1“Ultrapop”、Machine Girlあるいは初期のBiSというかBiS階段ばりにイッちゃってる奴らが奏でる天上のノイズが地上に降り注ぐ#2“All Futures”、かと思えば段階的に次元を超越していく感じが完全にLiturgyのソレな超絶エピックブラゲを披露する#3“Masunaga Vapors”、サイバーグラインドな#4“A Life So Wonderful”、USブラゲのVauraを彷彿とさせるニューウェイブ/オルタナチックな倦怠感溢れる#5“An Iteration”、Rolo Tomassiのエヴァのシャウトが炸裂するカオティックな#6“Big Shell”や#9“Where Man Knows Want”は、他の曲と比べて轟音ポストメタル要素マシマシなのも粋な計らいだし、もはや轟音シューゲイザーというか“ブラゲ化したJesu”みたいな雰囲気を醸し出す俄然エクスペリメンタルかつエレクトロな#7“Average Death”、もはや“ノイズゲイズ”としか形容しようがない全く新しい領域にイッちゃってる#8“Faith In Medication”、本作の中で最もサイパンサントラ提供曲とイメージが近い#10“Real Folk Blues”、この超越的な流れで今はなきVERSAのパクリというか†††(Crosses)みたいなインダストリアル〜トリップ・ホップを挟んでくる感じマジサイバージャパンク味しかない#11“Bad Selection”、最後はマーク・ラネガンをフィーチャーした#11“The Music Becomes A Skull”まで、なんだろう、日本の地下アイドルも参加しているサイパンサントラを経由した流れで、第一期BiSの名曲であるデジタル・ハードコアの“STUPiG”やBiS階段とも共振する懐の深さを伺わせる、もはや「20年代最高のパンクアルバム」と言っても過言じゃない一枚。
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